黒い森の白いくまさん

鍼の力

勤務先の病院で、週に１度、鍼の時間をとらせてもらっています。
と言っても、大体私の残業になってしまうのですが。
私が担当している患者さんの中から、「この人には鍼がよさそう」という人を選んで施術します。

うちの入院は平均３週間の滞在なので、
すぐに始めてもせいぜい２、３回しか施術できません。
しかも私は、どんな薬も効かないような厄介な症状の患者さんを、つい選んでしまう。
（だって、少しでも楽にしてあげたくて・・・）
それで、なかなか思うような効果が見られない。
まあ、私の腕がまだ未熟だというのが大きいのでしょうが、
何となくフラストレーションが溜まっていました。

ところが今日。
入院患者さんの中から、痛みの急患が二人。
どちらも鎮痛剤をしっかり服用しているのに、全く効いていない。

一人は腰痛。うんうん唸って、寝返りもうてないほどの痛み。
立つ事も、座る事も、寝る事もできない。
鍼をうってみたら、あら不思議。呻き声はどこへいった？
恐る恐る体を動かしてみて、「あら、動くわ」と、にっこり。
しゃきしゃき歩いて部屋に戻って行く姿に、看護婦さん達は目をまん丸。

もう一人は胸部の痛み。痛くて息もできないと言う。
「これでもう二晩、碌に眠っていない」と、涙目になっている。
あちこち触診すると、叫び声をあげるほどの激しい痛み。
横たわらせるのに、痛くない体勢を見つけられない位だった。
鍼をうってみたら、あら不思議。突然すやすやと寝息をたて出した。
暫くして起こしてみたら、「あれ？痛くない！」と、きつねにつままれたような顔をしている。
「え？痛くない！」「あ、ほんとに痛くない！へえ～」
叫び声をあげた箇所をぐりぐり押しても、もう平気。

ここまで劇的な成功は初めてだったので、心底嬉しかった。
やっぱり鍼を始めてよかった。
もっと勉強して、もっと上手になりたい。


心ない人たちの毒気にあてられて、このところ凹んでいた。
そんな私の心も、今日はぽかぽか陽気です。

ディルクさんの御馳走

日本には日本の、ドイツにはドイツのおいしいものがある。


ルッコラのサラダで始まり。


アスパラガスの季節なのですね。これがメインかと思ったら・・・


まだ出てきました。
とろとろに煮込まれたお肉は、スプーンで切れるほどにやわらかい。


デザートはなんと、手作りカレーアイスとマンゴー。
甘くなくてピリリとしたアイスに、マンゴーのやさしい甘さがよく合います。

話しに花が咲いて、はっと気付いたら真夜中でした。

本日のシェフ

旧友

４年の歳月は大きく、私達も歳を重ねた。
前回の帰国では、まだまだ幸せ真っ盛りの友人が多かった。
今回の帰国では、暗い話しもままあった。

病気
訃報
結婚生活の破綻
暴力

何の憂いもなかった頃の友達。
あの頃の無垢な笑顔が心に焼き付いている。
共に泣く事しかできない、無力な私。

もし私が路頭に迷う事になったら、
私の家族の誰もが「うちへおいで」と言ってくれるだろう。
でも、そういう家族がいない人もいる。

ドイツだったら、私が駆け込み寺になってあげるのに。
国境のせいで、滞在許可だの子供の教育だのという邪魔が入る。
だからと言って私が日本に戻っても、両腕をもがれたも同然となって、
自分が生きていくだけで精一杯になるだろう。

同じ地球の上なのに。


空はつながっているのに。

おまけ 機内食

■行き■





■帰り■

旅の終わり Ende

１分でも時間が空けば、書類に目を通す。
２分あれば、ちゃっと他の仕事を片付ける。
そんな分刻みの毎日から解放された、この休暇。
行きの飛行機の中では、本も読まず、映画も観ず、
只管ぼーっとするのが新鮮だった。


帰路。
空港で唯一普通の値段で買えるものは、本ではなかろうか。
トランクを預けて身軽になって、本屋へ。
豊富ではない在庫から、手当たり次第に買った。
幸田文「おとうと」
宮尾登美子「義経」
遠藤周作「侍」
与謝野晶子「みだれ髪」

「本をゆっくり読めないと、芥川さんみたいになっちゃうよ」
というのは、誰が誰に言った言葉だったっけ。
そう、私は読むのが速い。
飛行機の中で４冊とも読んでしまった。

「義経」を読みつつ、私の心は主人公にはなく、
脇役でちらちら登場する平家と、先日訪れた宮島にあった。
「うちは平家の末裔」と聞かされて育ったせいか、
説明のできぬ不思議な親近感があるのだ。
末裔だなどと大げさに、
辿れば日本人の大半は、どこかにつながるであろうに。

実は幸田文を読んだのは初めてであった。
他に類を見ぬ程の読書量だったのに、
何となく、読みそびれていたのだ。
ああ、何故もっと早くこのひとを知らなかったのだろう。


眩しい太陽と飛行機雲。


さようなら。

番外編 WILD LIFE

「日本のサル」を自称する夫が、サル山に到着。
初対面で日本語は拙くとも、野生の勘でたちまち意気投合。


まずはテリトリーを案内してもらいます。ウキッ。


夫が石を跳ねさせる。
その横で姪が巨大な石をジャブンと放り込む。


甥も負けてはいません。


朝から・・・


歩いている時も・・・


サルのジャンプ力。
因みにこれは、あの「ALL YOU CAN EAT」の後です。ようやるわー。


ダンベルより軽い。って、お腹いっぱいやのに。


サーカス団になれそうです。

あー、楽しかった♪
１週間遊びまくり。
私は専ら写真を撮っていました。ウキキッ。

入学式 Einschulungstag

今日からいよいよ小学生。


舞台の上に並んでいるのが、全在校生。小さな学校です。
日本の式は真面目ですね。

新１年生は10人。
誰も泣かずに一人でちゃんと座っているのに、ちょっとびっくり。


木の机と椅子。木造の校舎。
お米作りもするそうです。

１クラス43人で１学年６クラスだった、私の小学校とは大違い。


お昼は鰻御飯でお祝い。

広島 HIROSHIMA 2

広島に行ったのは初めてでした。


トタン板も。


ガラス瓶も。だから勿論人間も。


資料館は、半日ではとても見切れるものではありませんでした。

大声で「こんなん見てても仕方がないよ。まったく」と怒り散らし、
妻らしき人を追いたてながら出口に向かう初老の男性がいた。
あなたの心は、被爆者の肉体よりもミゼラブル。

また、被爆直後を再現した人形の前で、
「うわあ、こりゃ、かわいそうだね。
ほら、かわいそうだから、誰もゆっくり見てないよ」
と大声で何度も言っている、別の初老の男性がいた。
「かわいそう」と言えるあなたは、何も知らない。

苦しむ人の写真を見れば、
それがどんなに苦しいか、実に具体的に詳しく想像がついてしまう。
医者として、別の目になってしまっているのに気付きました。
「かわいそう」などという言葉が、そこに入り込む余地はない。
息が詰まるほどに胸が苦しくなって、
涙がこぼれないようにするのが精一杯。

子供の頃から、写真や映像での知識はあった。
でも、実物には、ずしんと胸に響く重さがあった。

HIROSHIMA PEACE MEMORIAL MUSEUM ／ 広島平和記念資料館

広島 HIROSHIMA 1

広島の名産、カキののった焼きうどん。


そしてお好み焼き！


姉の作ってくれた晩御飯。

◆　◆　◆　◆　◆　


おみやげは黒い森地方特産のカッコウ時計。
電池ではなく、この重りの重力だけで動きます。
カッコウが鳴くのも、２本の笛（「カッ」と「コウ」）に空気を送り込む仕組みになっているようです。


飲茶バイキング。
夫は初めて食べる点心に大感動。


デザートまで充実。食べ放題万歳♪

ALL YOU CAN EAT

日本の風景写真はどうも退屈なようでしたので、
今回は皆様に私の胃袋の大きさをお見せ致しましょう。

自然食レストランのバイキング、制限時間90分。
可愛い甥・姪に話し掛けられても、
「今、ちょっと忙しいで、後でな！」と言う始末。
ひどいおばです。

私が平らげたものは・・・

お蕎麦、さしみこんにゃく、根菜のスープ、山芋の酢の物、
天ぷら、魚の南蛮漬け、鶏肉、
ちらし寿司、イカのフリッター、鶏の唐揚げ。


根菜の煮物、高菜炒飯、胡瓜と魚の酢のもの、
ごまだれ麺、海草と切干大根の煮物、天ぷら、手作り豆腐。


根菜の煮物、お味噌汁、
魚の南蛮漬け、さしみこんにゃくにオクラのたれ、イカのマリネ、
イカのフリッター、鶏の唐揚げ、鶏肉、ちらし寿司。


手作り豆腐、イカのフリッター、根菜のスープ、
天ぷら蕎麦、山芋と海草の酢の物、豚肉とキャベツのオイスター炒め、
高菜炒飯。

更にアイスクリームとコーヒー２杯で〆。
・・・流石に動けなくなりました。わはは。

ふと見渡せば、
あちこちのテーブルに満腹放心状態の人達がいました。

換算するとこれで約10ユーロとは、正に夢の国です。