天と地

天にも昇る恍惚感、というのを味わった事があります。

一度は、ホルン。
ベルリン放送交響楽団の主席ホルン奏者のワークショップの通訳をした時の事。
通訳は当然、奏者のすぐ横に立ちます。
彼がお手本の演奏をします。
それがもう、天上の音楽とでも言う位、素晴らしい音色だったのです。
間近に聴かされて、うっとり耳も心もとろけて、通訳するのを忘れてしまいたい程。
ハーメルンの笛吹き男のように、彼のホルンについて行ってしまいそうでした。
それ以来「管楽器と言ったら断然ホルン！」になった私でした。

また一度は、サルサ。
キューバの国立舞踊団のダンサーと踊った事があります。
当時私はサルサの初心者で、基本ステップがようやく踏めるようになったばかり。
それなのに、彼にリードされると、あーら、不思議。
次に何が来るのかわからないのに、全く不安感はなく、
導かれるまま、くるくるくるくる、滑るようにフロア中、所狭しと踊りまくった。
足を踏み出すだけで、知らない型がどんどん決まっていく。
それはもう、自分が自分でないような、空を飛んでいるような心地でした。
このまま永遠に踊り続けたい、と思う程。

イデアの世界に飛んで行くとはこういう事か、
という、夢の中のような現実離れした感覚。
こういう恍惚感を他人に与えられる人って、凄い。
天才とは、こういう人達の事を言うのでしょうね。

凡人の私は、残念ながら、地を這いながら働き続けるしかないようです。


でも、こんなお花畑のある地上も悪くないよね。



先週末にはこの方の研修を受け（ついでに治療もしてもらって）、元気になりました。
Trailerと彼の話しで、昔読んだ立花隆の「臨死体験」の内容を思い出したわ。