2008年 11月 14日
日本語 |

朝ぼらけの月を見ながら出勤。黒い森は霧に包まれています。

最近の日本では「患者様」という書き言葉が一般化してきているようです。
私はこの表現は媚びがあって嫌いです。
医者は「お医者さん」、患者は「患者さん」で充分だと思います。
敬語には「程」というものがあって、内容と程が合わなければならない。
「患者様がお吐きになりました」は、幾ら何でも変でしょう。
だからと言って、
「患者様が吐きました」というのも、文中の不一致が気持ち悪い。
敬語が合う内容ではないのです。
そもそも敬語を使いこなせない人が無理に敬語を使うものだから、ぼろが出る。
そして、「患者様」と書きながら、
話し言葉や態度は案外、昔のままの横柄さが残っているのではないかな、と思います。
心の伴わない過剰敬語。
「看護婦」を「看護師」と呼び変える事が、改善・向上なのでしょうか。
それなら「家政婦」は「家政師」、「工事夫」は「工事師」・・・。
「こんにちわ」「・・・とゆう」というのも、以前は故意に書いていた人が多かったけれど、
今ではこれが間違いだという認識も薄らいできているような印象があります。
漢字も然り。自分で「書いて」いた時代には、うろ覚えの漢字があれば辞書をひいたから、誤字は少なかった。
漢字を余り知らない人は、身分相応に平仮名を使ったものです。
ところが、変換ミスというのは始末が悪い。
間違いでもそれらしく見える字面というのはあるもので、それを積極的に「間違い」と認識するのは容易な事ではない。
だから常に心している私も、変換ミスを犯しては恥じ入る事がままあります。
ネット上の書き言葉が話し言葉の延長になっているのは、それはそれで受け入れられます。余りにも畏まられるのは、かえって居心地が悪い。
でも、商用は矢張りきちんとした日本語で対応して欲しい!と思います。
一度「客」としてメールで問い合わせをしたら、文末が全て「・・・ですね」という返事が来て、途端に購買意欲が失せました。
私は答え(=情報)が欲しかっただけなのに、あんたは何でそこでいちいち「ね」と私の同意を求めるんや?!
現代日本人の読解力や表現力が衰えてきているのは、何も今に始まった事ではないけれど、日本語でお喋り程度の内容しか理解し合えなくなっている人が多い。
かと思えば、差別だの何だのと言って、やたら言葉使いにうるさくなったり。
日本語は、こんなにも美しく豊かな言語なのに。
そういう私も日本語力が衰えつつありますが、
せめて無知の知でありたいものだと思っています。

思わず吹き出してしまいました。世知辛い世の中になりましたね。

霧の夜。ただいま。
by germanmed
| 2008-11-14 00:00
| 日本
|
Comments(15)
私は中学生を教えていますが、日本の子どもの語彙の少なさには本当にガッカリさせられています。日常の会話が成り立たないほど、言葉を知らないのです。
子どもはすべての言葉を学校で習うわけはなく、ほとんどは親や家族などの大人との会話を通して覚えていくものと思いますが、その「会話」が少なくなっているからなのでしょうか。
"日本語は、こんなにも美しく豊かな言語なのに。"
まったく同感です。
子どもはすべての言葉を学校で習うわけはなく、ほとんどは親や家族などの大人との会話を通して覚えていくものと思いますが、その「会話」が少なくなっているからなのでしょうか。
"日本語は、こんなにも美しく豊かな言語なのに。"
まったく同感です。

はじめまして。最近こちらのブログを見つけて訪問させていただいておりました、日本の医師です。患者様か患者さんか、というのは数年前に大きく議論になりまして、全国的に「さん」に統一されたはずなんですが、もしかしたらそれより前の看板やチラシなどが残っているのかもしれませんね。
最近読んだところによると、外国人に排他的な国ほど言語の美しさが保たれるそうで、アメリカなどはどの人種にもわかりやすい言語であることに重きを置いているため、美しい言語は絶対に保てないそうです。そう考えると日本は、外国人差別はするくせに、言語は乱れてきているという悲しい状況かもしれません。
最近読んだところによると、外国人に排他的な国ほど言語の美しさが保たれるそうで、アメリカなどはどの人種にもわかりやすい言語であることに重きを置いているため、美しい言語は絶対に保てないそうです。そう考えると日本は、外国人差別はするくせに、言語は乱れてきているという悲しい状況かもしれません。
こんにちは。いつも楽しく読ませていただいています。
言葉というのは時代とともに変わっていくものだとは思いますが、間違った使い方がマニュアルの中に使われていて、それが広がり、いつの間にか正しいかのように皆が受け入れられているのが気になって仕方ありません。
古い日本映画を見ると、みんなとても美しい日本語で会話をしているのが素敵だと思います。自分を振り返るとあんなにきれいな日本語で話してはいないんですけれど。
けれど本を読んで、習ったことのない表現などを知ることができたのに、こころの写真を見たときにはびっくり。最近はそんなことになっているなんて…。あれじゃあ先が思いやられますね。
私は彼が日本語を勉強したいと言っているので、ちゃんと美しい日本語を覚えてもらえるようにがんばります。
言葉は文化だから、そこから日本を伝えられたらいいなぁと思います。
言葉というのは時代とともに変わっていくものだとは思いますが、間違った使い方がマニュアルの中に使われていて、それが広がり、いつの間にか正しいかのように皆が受け入れられているのが気になって仕方ありません。
古い日本映画を見ると、みんなとても美しい日本語で会話をしているのが素敵だと思います。自分を振り返るとあんなにきれいな日本語で話してはいないんですけれど。
けれど本を読んで、習ったことのない表現などを知ることができたのに、こころの写真を見たときにはびっくり。最近はそんなことになっているなんて…。あれじゃあ先が思いやられますね。
私は彼が日本語を勉強したいと言っているので、ちゃんと美しい日本語を覚えてもらえるようにがんばります。
言葉は文化だから、そこから日本を伝えられたらいいなぁと思います。
★Rika_Joppariさん、こんにちは。
正しい日本語を使いこなせぬ世代が親になり、その子供がまた親になり・・・と、どんどん退化を繰り返している気がします(そう言う私も退化していますが・・・)。
大学で教鞭をとっている知人が、「今の大学生は、ノックすらせずに、『せんせー、きいて、きいて!』と部屋に飛び込んでくる」と言っていました。はあ。ふう。
正しい日本語を使いこなせぬ世代が親になり、その子供がまた親になり・・・と、どんどん退化を繰り返している気がします(そう言う私も退化していますが・・・)。
大学で教鞭をとっている知人が、「今の大学生は、ノックすらせずに、『せんせー、きいて、きいて!』と部屋に飛び込んでくる」と言っていました。はあ。ふう。
★makiさん、こんにちは。
はじめまして。そうだったのですか。
昨春の帰国で「患者様専用出入口(だったかな?)」というような看板を見たり、今でもブログなどには「患者様」という言葉が氾濫しているので、数年前に「さん」に統一されていたとは知りませんでした。
「外国人に排他的な国ほど言語の美しさが保たれる」という説は、面白い意見だとは思いますが、私は同意しかねます。
makiさんは、何科のお医者さんでいらっしゃいますか。よろしかったら、日本の状況もお聞かせ下さい。
はじめまして。そうだったのですか。
昨春の帰国で「患者様専用出入口(だったかな?)」というような看板を見たり、今でもブログなどには「患者様」という言葉が氾濫しているので、数年前に「さん」に統一されていたとは知りませんでした。
「外国人に排他的な国ほど言語の美しさが保たれる」という説は、面白い意見だとは思いますが、私は同意しかねます。
makiさんは、何科のお医者さんでいらっしゃいますか。よろしかったら、日本の状況もお聞かせ下さい。
★らんらんさん、こんにちは。
はじめまして。
そうですね。外国人が片言の汚い日本語を話すのを耳にすると、本人に罪がないだけに、本当にがっかりします。片言でも美しい日本語を教えてあげて欲しいです。
ところで「こころの写真」って、何ですか?
はじめまして。
そうですね。外国人が片言の汚い日本語を話すのを耳にすると、本人に罪がないだけに、本当にがっかりします。片言でも美しい日本語を教えてあげて欲しいです。
ところで「こころの写真」って、何ですか?

すみません、私の書き方が悪かったですね。
「こころの写真」はこの記事内に掲載された「こころ」の文庫の注釈部分の写真のことです。
私が読んでいた「こころ」にはあんな注釈ありませんでしたから、ちょっと衝撃でした。
「こころの写真」はこの記事内に掲載された「こころ」の文庫の注釈部分の写真のことです。
私が読んでいた「こころ」にはあんな注釈ありませんでしたから、ちょっと衝撃でした。
★らんらんさん、こんにちは。
あ、そうだったんですね!わかりました(ニブくてすみません・・・)。
そう、この「こころ」は最近購入したものなんです。
私にとって漱石の文学は芸術であって、そこについているこの文章が余りにも場違いで、衝撃を通り越して何度も読み直して大笑いしてしまいました。
「著者自身に差別的意図はなく」・・・いやいや、この程度あるのが普通という時代だったのでしょ?そんな、無理に庇わんでも。
「著者が既に故人である」・・・生きていたら「この部分はまずいから直して下さい」って言うのか?で、それを聞いた漱石の顔を思い浮かべたら・・・もう笑わずにおられませんでした。
あ、そうだったんですね!わかりました(ニブくてすみません・・・)。
そう、この「こころ」は最近購入したものなんです。
私にとって漱石の文学は芸術であって、そこについているこの文章が余りにも場違いで、衝撃を通り越して何度も読み直して大笑いしてしまいました。
「著者自身に差別的意図はなく」・・・いやいや、この程度あるのが普通という時代だったのでしょ?そんな、無理に庇わんでも。
「著者が既に故人である」・・・生きていたら「この部分はまずいから直して下さい」って言うのか?で、それを聞いた漱石の顔を思い浮かべたら・・・もう笑わずにおられませんでした。

こんにちは。「患者様専用出入口」、確かに存在します!私も疑問に思っていたのですが、ドクターやナースの間では、「さん」で一応統一されたものの、病院内にいる事務の方々とかにはいきわたっていない事があると聞きました。あと出入り口の場合、感じで統一したくなるとか。
私は専門は内科で、最近は精神科も勉強中の者です。ブログをもっていなくてすみません。またときどきお邪魔させていただきます。
私は専門は内科で、最近は精神科も勉強中の者です。ブログをもっていなくてすみません。またときどきお邪魔させていただきます。

漢字で統一、の間違いでした。

ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
★makiさん、こんにちは。
おお、やっぱり存在しましたか。見たあれは幻じゃなかったー。
これからも、どうぞよろしく~♪
おお、やっぱり存在しましたか。見たあれは幻じゃなかったー。
これからも、どうぞよろしく~♪
★鍵コメさん、こんにちは。
そうですよね。書き出しがそれだと、私も途端に返事を書く気が失せます。
わかって崩している言葉と、崩れているのがわかっていない言葉って、やっぱり全然違うと思います。
そうですよね。書き出しがそれだと、私も途端に返事を書く気が失せます。
わかって崩している言葉と、崩れているのがわかっていない言葉って、やっぱり全然違うと思います。

どうも患者様って、しっくりきません。くまさんのおっしゃるとおり、心が伴わなければ意味がありませんよね。慇懃無礼なんて言葉もありますし。ある女医さんの連載コラムでもテーマにとりあげていて、なるほどな、そういうこともあるんだろうなと私は思いました。
今日も暑くなりそうですね。ベニさんと、楽しい週末をお過ごしくださいね。
リンクをとも思ったのですが、スパムになりそうですので、もしご興味がおありでしたら、病院のクレーマー - 医者の養生不養生で検索すると出てくると思います。
今日も暑くなりそうですね。ベニさんと、楽しい週末をお過ごしくださいね。
リンクをとも思ったのですが、スパムになりそうですので、もしご興味がおありでしたら、病院のクレーマー - 医者の養生不養生で検索すると出てくると思います。
★オミさん、こんにちは。
何でも「様」を付ければいいというものではありませんよね。
美しい敬語が稀になってきたのは、何とも残念な事です。
何でも「様」を付ければいいというものではありませんよね。
美しい敬語が稀になってきたのは、何とも残念な事です。