2008年 02月 28日
壁の傷跡 |
旧東ベルリン出身の人。
脚が不自由です。
20歳の時、彼は西への逃亡を試みた。
そして両脚を撃ち抜かれた。
彼の胸にも浅く幅広い傷跡がある。
「若かったんだね」と彼は笑う。
「ここにはね、18歳の時に、
『ドイツ連邦共和国(旧西ドイツのこと)』って刺青してたんだ」
初老の彼は、痛む脚と共に生きている。
未だに夜な夜な悪夢にうなされる。
壁はもうない。
「壁、知ってる?」と訊かれ、
「知っていますとも」と言ったら、ほっとした顔をされた。
戦争でもなく、盗みや殺しをした訳でもなく、
ただ壁のために、
日本で家庭教師をしていた頃、平成生まれの生徒に訊かれた。
「社会主義って、なに?」
そう、ソ連はもうなかった。
日本では、共産党が活発に運動している。
平和なんだな、と思う。
ヨーロッパで「私は共産党員です」と言ったら、
周囲の人々は蜘蛛の子を散らすように逃げ去るだろう
・・・という事を言った日本人がいた。
まことに。

今日の日の出は金色でした。
脚が不自由です。
20歳の時、彼は西への逃亡を試みた。
そして両脚を撃ち抜かれた。
彼の胸にも浅く幅広い傷跡がある。
「若かったんだね」と彼は笑う。
「ここにはね、18歳の時に、
『ドイツ連邦共和国(旧西ドイツのこと)』って刺青してたんだ」
初老の彼は、痛む脚と共に生きている。
未だに夜な夜な悪夢にうなされる。
壁はもうない。
「壁、知ってる?」と訊かれ、
「知っていますとも」と言ったら、ほっとした顔をされた。
戦争でもなく、盗みや殺しをした訳でもなく、
ただ壁のために、
脚と共に残りの人生も撃ち砕かれた。
その壁が消えて、壁を知らない世代が増えていく。
日本で家庭教師をしていた頃、平成生まれの生徒に訊かれた。
「社会主義って、なに?」
そう、ソ連はもうなかった。
日本では、共産党が活発に運動している。
平和なんだな、と思う。
ヨーロッパで「私は共産党員です」と言ったら、
周囲の人々は蜘蛛の子を散らすように逃げ去るだろう
・・・という事を言った日本人がいた。
まことに。

今日の日の出は金色でした。
by germanmed
| 2008-02-28 00:00
| ドイツの暮らし・生き方
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Comments(2)

きれいな夜明けですね。ネブラスカの夕日もきれいです。
チェコ人の彼も30になるまで西側諸国へ出ることはできなかったそうです。ロシア語は義務教育。本人はあまり口にしませんが、自国の文化を抑圧された事に対する彼の憤りは感じます。ロシア語はできるだけ使いたくないそう。
チェコ人の彼も30になるまで西側諸国へ出ることはできなかったそうです。ロシア語は義務教育。本人はあまり口にしませんが、自国の文化を抑圧された事に対する彼の憤りは感じます。ロシア語はできるだけ使いたくないそう。
★アリスさん、こんにちは。
そうね。私もチェコ人の知人が何人かいて、チェコにも何度か行った事があって、色々見聞きしました。
医者は裸を見ますから、銃創もよく目にします。
政治や戦争の傷跡は、まだまだ過去のものではありませんね。
そうね。私もチェコ人の知人が何人かいて、チェコにも何度か行った事があって、色々見聞きしました。
医者は裸を見ますから、銃創もよく目にします。
政治や戦争の傷跡は、まだまだ過去のものではありませんね。