ルネッサンス

これは後述する「ルネッサンス」前の、三十過ぎの頃。

最近体型が変わったのを頓に感ずる。

洋梨型というか、下半身がドボーンとして、冴えない。

言い訳をすると、妊娠出産でヘルニアや腹直筋離開ができたのと、

お腹を触って判る位大きな子宮筋腫が複数あるのとで、

手術しない限りは元の体型は無理になっていたのだけれど、

それに輪をかけて、崩れるというか、何だか恐ろしい事になってきた。

日本のアラフィフってどんなもんかと画像検索をしてみて、びびった。

めっちゃ奥様風か、痛々しい若作りか。

私は医者だから、人体を見慣れている。

どんなに「可愛い」系や「美魔女」のメイクをしていても、

手足や首を見れば歳は滲み出ていて、

顔だけ若作りなのが、気持ち悪い。

修正写真は解剖学的に辻褄が合っていないから、更に気持ち悪い。

ズームなどでインタビューした写真も、のっぺりつるーんが気持ち悪い。

かと言って、奥様っぽいのも、私の内面に合っていない。

アラフィフで検索したのが失敗だったかと、

４０代、３０代、２０代、１０代とキーワードの年齢を下げながら、

「ファッション」で画像検索をしてみて、ううーんと考え込んでしまった。

「日本は」「ドイツは」と一括りにするのはよくないけれど、

私がこちらに来て得たものの一つは、「媚びなくていい自由」だったと思う。

お洒落でも、持論でも、個人の差を当たり前として受け入れてくれる。

議論好きだけれど喧嘩ではなく、最終的に同じ結論に到達しなくてもいいし、

それでも友達として付き合い続ける事ができる。

角が立つのは百も承知で、敢えて「こちらの人は」と言おう。

老いも若きも、どんな体型でも、どんな社会的立場でも、

色々気にせず、自分の好きなようにお洒落を楽しみ、恋愛している人が多い。

更に言うと、ドイツ人の多くは、センスがないしお金をかけないので、

ノーネームも普通だし、イミテーションやメッキでも平気。

他人の目のためというより、自分のためのお洒落、でいいんだ。

体型を気にする人は、大体ジムに通ったりしているので、筋肉質の痩せ方。

気にしない人は、太っても垂れてもガリガリでも体型を隠さないでお洒落するし、

高齢者でも臆せずバイアグラの処方箋を取りに来る。

ルネッサンス絵画を見ていて気付いた。

当時はこの下半身太りが美の極致だったのだ！

よっしゃ、これからは「ルネッサンス体型になれた」と胸を張ろう。

皆さんも、今後は間違っても「中年体型」などと呼ばないように。