悪童に寝技

乳幼児だった頃の兄こぐまは、本当に繊細で、

自分の大事な玩具でも友達にどんどん譲って貸してあげて、

晩に悲しくなって、べったりくっついて、しくしく泣く。

何か悪い事をしそうになっていたら、

ちょっと低めの声で「こぐま！」と言うだけで、ぱっとやめ、

大きな声を出して叱る必要なんてなかった。

こんなでは、どうやってこの世を渡っていけるだろう、

と心配になる程だった。

それが、まあ、今は。

叱られたって、へっちゃら。

声が枯れそうにきつく言っても、止めない。

口達者になって、憎まれ口を叩きまくる。

妹こぐまが泣き叫ぶまで決してやめず、

目標達成したら、へらへら笑う。

ちょっとぽっちゃりになって、

私が叩いた位では全然効かなくて、私の手と胸が痛いばかりで、

本人は「ママの優しい叩き方なんて！」と笑うばかり。

んもー！！

閉じ込めたり閉め出したりするのは、

恐怖で泣き叫ぶので、トラウマになりそうで、したくない。

それでふと、寝技をかけてみた。

大きくなったとは言え、まだ私の方が大きくて重い。

兄こぐまはなかなか降参しなくて、

だから押さえつけたまま、くすぐってみたり、

脱出を試みるのを、ちょっと泳がせてみたり。

延々と、半時間以上も取っ組み合っていただろうか。

兄こぐまが頭をぶつけそうになったら気を付けてやったり、

合い間にどさくさに紛れて抱き締めてやったり。

最後には二人とも笑ってしまって、

お互いに「なかなかやるなあ」という感じになっていた。

普段なら、私に叱られた後はツーン、ギスギスとなるのだけれど、

今回は、その後私にべちゃーっとくっついてきた。

ふむ、疲れたけれど、これは悪くないぞ。

でも翌日には、またリセットされていて、

一からやり直しになるんだけどさ。

取っ組み合いの後の晩御飯。

家族はここにシュペッツレをつけて。

サラダは何度もお代わりして山の様に食べる。

今週のカイザーシュマーン。

牛乳をほんの少し減らしてみたら、更によく膨らむ！

かなり理想に近づいた感じ。

私の好みでは、表面のカリカリをもう少し分厚くしたい。