2019年 10月 03日
リハビリ病院から見た進路の選び方 |
日本では、取り敢えず大学の好きな学部に行って、
就職はまた別の問題、という傾向が結構強いと思う。
だから大学を出てから、全く違う分野の職についたり、
「やっぱり手に職をつけたい」と専門学校に入り直したり。
ドイツでは、大学だろうと専門学校だろうと、
「その後の職」を見つめての選択となる。
大学は勿論、専門学校も国の税金で補助されているので、
無駄に幾つも梯子する事は不可能だし、
例えば専門学校を出て、大学でもっと極めたいというキャリアアップなら認められるけれど、「手に職を」は逆にキャリアダウンになるのでやらせてもらえない。
解りやすい例では、外国人がドイツの大学を卒業してドイツで就労ビザを得るには、
その分野を活かしたそれなりの仕事につかなければ認められない。
「もう仕事は選ばず、何でもいいから働く」というのでは、ビザは下りないのだ。
皆が将来の仕事を考えて進路を決めるので、
「猫も杓子も大卒」という無駄はなく、
大卒で事務でお茶くみなんて、ちょっと考えられない。
ドイツのやり方を知ってしまうと、
日本のやり方は無駄が多く、節操がないというか、行き当たりばったりというか。
日本での自分を振り返って、私が凄く反省したのは、
大学(進路)と就職のビジョンが、全く結びついていなかったなあという事。
閑話休題。
ドイツのリハビリの多くは、年金で賄われている。
つまり、リハビリによって早期年金者を減らし、働き続けて貰えるようにする、
という、はっきりとした目的がある。
そこで数多の患者さん達を見て思うのは、
最低65歳まで働き続けるというビジョンなしに職を選ぶべきではない、という事。
「この仕事をしてみたい」と思ったら、
その職種(職場)で定年間近の人が沢山いるか、
年配の同性がキャリアを積んでいきいきと働いているかどうか、
観察してみるといい。
一定の年齢までしか活躍できない職種なら、
退職までに一生分の稼ぎが期待できるのか、
その後の人生設計はどうするのか、
考えてから選ぶべき。
私が、一番興味があった外科を結局選ばなかったのは、
やはり体力的に、私は欧米人男性に敵わないし、
65歳まで、朝から晩までバリバリ手術をこなす自信がなかったから。
老眼になるし、手も震え出すだろうし。
自宅で家庭医として開業したら、65歳を過ぎてもまだまだ、
診療時間を減らして細々と続けていけそうな気がする。
そして、医学部を選んだ時にも、
医学への関心が勿論一番だけれど、
医師という職は景気や政情に左右されないし、専門職なので、
ビザも出やすいだろうし、
たとえ医師余りの状況でドイツで就職できなくても、
世界のどこかでは食べていけるだろう、という考えもあった。
今のドイツは医師不足なので、私の在学時には考えられなかった状況になり、
女性でも、時短でも、次の就職先には困らないし、一定の月給は確実に貰える。
「たとえ辞めても、すぐに次が見つかる」という保証は、
夫が病気で働けなくなって、女手一つで家族を養う今、本当に有難いのだ。
好きな分野を探すのは、勿論大事。
でも、憧れとかだけではなく、地に足のついた人生設計も必要かな。
夫は食事も苦痛な部分があるので、何かと抜いてしまう。
でも「食べない」と言っていても、私が作ると結局お代わりまでして食べるので、
週末くらいは、簡単なものでも作るようにしています。
この日の台所のBGMはSRV。ああ、シビレルー!
この曲は私が好き過ぎて、畏れ多くもバンドでコピーした事がある。
私がギターでシビレルのは、SRVとパコ・デ・ルシアだけ。
映像は初めて観たけど、このギターの擦り切れ具合、凄いな・・・。
で、ドラマー目つき悪いよ。私もこういう顔するべきだったのか。
はー、ドキドキ、息もつかせない!
by germanmed
| 2019-10-03 01:27
| 受験生の君に
|
Comments(4)
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toshi-pooh123 at 2019-10-05 17:10
私は爆然と車関係の仕事がしたいと工学系に行きましたが、結果はご存知の通り。
自分のことはさておいて、今の日本はおっしゃる通り。この流れを変えることは難しいかもしれませんが、自分の子どもには早く目標を見つけて、貰えるように色んな経験や色んな景色自然を見てもらいたいと思っています。
今は絵を描くのが好きなので、色んな景色自然を見てもらいたいと思っています。
人生あっちこっち行って、人生無駄はなかったとは思いますが、自分ができなかったと思う色んな目標の中から選択出来る様にしてあげたいです。
自分についてはひょんなことから、65歳程度までは働けるような職場につけて、資格もそれまでには貰えるようにはなりそうなんので、今までより不安が減りましたが、身体が資本なんで、現状維持を目標に頑張ります!
でも、くまさんみたいな家庭医が近くにいてくれたらもっと安心できるんだろうな、
自分のことはさておいて、今の日本はおっしゃる通り。この流れを変えることは難しいかもしれませんが、自分の子どもには早く目標を見つけて、貰えるように色んな経験や色んな景色自然を見てもらいたいと思っています。
今は絵を描くのが好きなので、色んな景色自然を見てもらいたいと思っています。
人生あっちこっち行って、人生無駄はなかったとは思いますが、自分ができなかったと思う色んな目標の中から選択出来る様にしてあげたいです。
自分についてはひょんなことから、65歳程度までは働けるような職場につけて、資格もそれまでには貰えるようにはなりそうなんので、今までより不安が減りましたが、身体が資本なんで、現状維持を目標に頑張ります!
でも、くまさんみたいな家庭医が近くにいてくれたらもっと安心できるんだろうな、
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germanmed at 2019-10-06 00:24
> toshi-poohさん、こんにちは。
私が日本で学生だった時は、バブル崩壊直後だったし文系だったしで、「大学の専門と就職は全く別」というのが当たり前の風潮だったので、ドイツに来て「専門学校も無駄には行けない」というのは結構カルチャーショックでした。
皆に安心してもらえる家庭医になるよう、精進します。
私が日本で学生だった時は、バブル崩壊直後だったし文系だったしで、「大学の専門と就職は全く別」というのが当たり前の風潮だったので、ドイツに来て「専門学校も無駄には行けない」というのは結構カルチャーショックでした。
皆に安心してもらえる家庭医になるよう、精進します。
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papricagigi at 2019-10-06 14:33
ちょっと待った!(本題からはずれるかもしれないけど)くまさん、バンド組んでいたのー?! うひゃぁっっ。かっこいいっ!!! こんな風にギターをひいて髪を振り乱していた時代もあったのですか?! くまさん、素敵。
このお話、これから高校、大学へと進んでいく姪っ子たちにも聞かせたいです。
このお話、これから高校、大学へと進んでいく姪っ子たちにも聞かせたいです。
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germanmed at 2019-10-06 18:14
> papricaさん、こんにちは。
いひひ。ギターじゃなくて、茶髪振り乱してドラム叩いてましたー♪
いひひ。ギターじゃなくて、茶髪振り乱してドラム叩いてましたー♪