抜歯 |
秋、引越しが一段落して、旧居の鍵を引き渡してほっとした頃、突然もの凄い激痛に襲われました。奥歯の1本が恐ろしく痛み、位置も僅かに移動したのがデンタルフロスの通り具合で判り、顔面の三叉神経まで一緒に痛くなる始末。その後、近くの歯茎の一部が腫れ、膿まで出始めました。
私は、子どもの頃に歯の正しい磨き方を知らなかったので詰め物は沢山あるものの、もともと虫歯の痛みを知らない位、歯には気を付けて生きてきました。でも医学留学と病院勤務時代のストレスで歯に沢山の罅が入ったり、噛み割って欠かしてしまったり。以前新しくしてもらった詰め物が合わず、結局歯医者を替えて、噛み合わせのスペシャリストのところに掛かるようになっていました。
でも、正しい歯の磨き方を知り、この10年以上というもの新しい虫歯は一切出ず、噛み合わせの調整のため定期的に歯医者に通っているので虫歯や歯槽膿漏でない事は確信しており、恐らくストレスで噛み合わせの問題が大きくなって一気に弊害が出たのだろうと、歯医者に駆け込みもせずただただ鎮痛消炎剤などで抑えて我慢し、その後痛み自体は随分軽くなったので、何とかなっていました。膿は気になったけれど、週日には多く週末には少なくなっていたので、やっぱりストレスかなあ、と。
さて結局、合わない詰め物を幾つか新しくやり直す事になり、その治療に行ったら、思いもよらぬ事実が発覚しました。
歯茎の炎症ではなく、歯の下の炎症の膿が、行き場がなくてトンネルを作って歯茎に出てきていたのでした。
何故歯の下に炎症があったかと言うと、歯を真っ二つに噛み割ってしまっていた。上にはがっちりと詰め物が被せてあったし、歯自体は虫歯もなく根っこも健康だったため、それでも歯は全く揺らがなかった。ところが、そのミクロの隙間から歯の下に細菌が入り込んでしまい、炎症を起こした。歯の神経も上顎の骨も蝕み、膿溜まりは何と副鼻腔にまで達し、それによって歯が僅かに浮かび上がっていたのが、歯が「動いた」原因でした。
全てが明らかになって、もうその歯を救えないのは自明の事で、涙が溢れ出ました。歯医者さんは心配して、「処置だけして一旦仮の蓋をして、抜歯は後日心が落ち着いてからにする?」「炎症がきれいに治ったら、冠を被せるという手もあるよ。ただ、ぼくの20年の経験上、(真っ二つに割れていると)もっても5年でお金が勿体ないと思うけど・・・」などと言ってくれたのですが、炎症の治癒のためには蓋などない方がいいし、冠などしてもミクロの隙間はどうしても残る事はこの身で経験してしまった。それでもう、その場で抜歯してもらいました。
私は親不知も4本とも残しているので、永久歯を抜くのは初めての経験で、虫歯ではない真っ白な歯が根底まで真っ二つになっているのをカメラで見せてもらった時には、抜かれる歯や母に申し訳ない思いで、また涙が溢れました。虫歯で神経がやられるのとは全く違うかたちの炎症だったと言われました。
歯医者さんは約束通りとても上手に抜いてくれて、翌日の顔の腫れも気を付けて見なければ判らない程度だったし、鎮痛剤も市販のものを念のために2回服用しただけで実は不要だったかも知れない位。翌日も普通に仕事していました。
驚いたのは、2、3日後から、突然睡眠時間が短くて済むようになった事。朝も早く目覚めるし、お昼休みに家に帰っても横になる必要もない。あの炎症が私のエネルギーをこれだけ奪っていたのか、と実感させられ、それが抜歯のショックをやや和らげてくれました。
それにしても・・・。こんな事になると知らなかった頃は、勉強して眠気に襲われると歯をきりきり食い縛っていた。欠伸やくしゃみは文字通り噛み殺していた。この自分が歯のトラブルに見舞われるとは夢にも思っていなかったもの。マウスピースを作ってもらったのは、既に歯に沢山罅が入ってから。
まあ、今迄の殺人的なストレスの数々を思えば、歯1本で済んだ事をよしとせねばならないのかな、とも思ったり。そもそも留学する時に「食い縛る歯がある限り、石に噛りついてでもやり遂げる」と決意していたのだから、仕方ない。
歯の神経と上顎の骨が溶けて副鼻腔にまで貫通していたら、そりゃ痛いわ。それを鎮痛消炎剤だけで、休みもせずに何とか働いていた自分に、呆れたり。
(三叉神経痛の後、ペイン・クリニックの先生にその話しをしたら、
「鎮痛消炎剤で抑えたの?!普通は急患で転がり込んできて、神経ブロックだよ」と驚かれました。)
皆様は、どうぞお気を付けて、早めのマウスピースを。
余談ですが、ドイツで冠などの歯の大きな治療をする場合、よい治療を選ぶと自己負担になりますが、一部は公的健康保険でも負担してくれます。その時に大事なのが、「Bonusheft」です。これに過去10年間毎年歯科検診に行った記録があったので、保険の負担額が30%増しになりました。Bonusheftは私は歯医者さんで作ってもらいました。歯医者さんに記録が残っているので、Bonusheftを作る前に受けていた検診も、言うとちゃんと書き込んでもらえます。
■欧州日本人医師会の電話健康相談(無料)■
(火)22時~23時/ (水・木)21時~22時 (ドイツ時間)
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私も口腔外科でマウスピース作って、毎晩はめて寝ています。
私も仕事中や就寝中に食いしばりが激しくて、
口の中が傷だらけで、横のお肉を噛んで血が出ることもありました!
3年前に顎関節症になり、口を大きく開けると痛くなりました!
その頃からマウスピースしています。それから、顎関節症になってません。
前にもくまさん、歯を噛み切って割れた、お話ししてましたね。
相当な噛み切りですね。私は、顎に来ましたが、歯が割れたんですね。
私は、奥歯の一本の歯を失っています。
その当時は、ショックでそれから、歯間ブラシを駆使して
歯磨きを徹底したら、ここ5〜6年虫歯をしてませんね。
歯はとても大事ですね。

でも歯は大事ですね。
虫歯でも歯周病でもなく排膿がある時は、やはり歯が割れてしまってることが多いです。歯肉の中まで割れると抜歯に、、就寝中の歯ぎしりや食いしばりが主な原因で、寝ている時は体重の5倍から10倍の力で食いしばりをするそうです。知覚過敏になるのも歯頸部に細かい亀裂が入るのが原因。マウスピースで歯を守ってあげたいですね。寝る前にリラックスして自分に暗示をかける方法も一度お試しください。

母に申し訳ないとのくだり、あー、今はあまり聞かれない
言葉に胸に迫るものがありました…
私なぞ親知らずは全部抜歯、
ついでに歯列矯正のために上下四本抜歯(-_-;)
私もマウスピースは欠かせません
特に去年一年は本当に食いしばっていたようで
また罅がいってました
寝る前に顎関節あたりをマッサージして、
一人で自分に集中してリラックスできる時間を意識的に
とるようにして、大分緩くなりました。
時間に追われているとなかなか難しいものね。
どうぞお大事にしてください!

口の中が傷だらけとは、また壮絶な。
今迄は噛み割ってもどこかが欠けるので済んでいたのですが、今回は真っ二つをやってしまったので・・・。
本当に、歯は大事ですね。
そうですねー。ドイツ人でも半数が脱落していった道を外国人が何とかしようとするのは、やっぱりかなり厳しいですね。自分で決めた道なので、仕方ないです。
おお、nono_raさんは歯科衛生士でいらっしゃいましたか。
体重の5倍から10倍ねえ。納得です。私は歯軋りをしないのでマウスピースが必要だとは全く思っていなくて、作ったのが遅かったのが悔やまれます。
ぎゃー、ひかりさんも。気を付けてねえ。
引越しの荷造りの時にかなり食い縛っていたみたいなのと、時々疲れてマウスピースなしでうたた寝しちゃったのが、止めを刺したかな、と。しくしく。
我慢強いというか、これは駄目ですね。凄く反省しました。
ふーむ。睡眠中は唾液がほぼ止まるのでそんなに潤わないのが普通ですが、そんな状態でしたら、緊張時に口中が乾くのと同じメカニズムかも知れませんねえ。
あ、飛びませんでしたか。よかった!!
大事に至るのは要らない?悲しいだけでしょう〜〜。
周りに感謝する意味でも甘える事も素晴らしい?と思いますよ。
頑張りやさんだと難しいでしょうけど。
他人がこんなこと言って申し訳ないです。
側に居たらハラハラドキドキで心穏やかじゃ過ごせないですよ。我が家の娘(日本で同居の独身娘)とダブってしまいがちです。
くれぐれもご自愛下さいますよう祈っております。
どうぞお大事に。
いえいえ、有難いです。
でも、今回の事で感じたのは、家族を背負うのも、患者さんを助けるのも、自分の健康があってこそ。そこが揺らいでは何もできないのだから、気を付けなくてはいけませんね。

大切に大切にしていた一本の悔しさ、とてもよく分かります。どうか、お身体ご自愛ください!
私はとんでもない歯科治療トラブルにあったことがあり…恐怖で 噛み合わせやマウスピースを作りに歯科へ行く勇気がありません。問題山積なので行かねばなりませんが…ドイツでの歯科選びのコツがあれば是非教えてください!
うわーん、ごめんなさい!他人まで巻き込んで苦しめていたらいけませんね。
本当にめちゃくちゃ痛かったのは1、2週間で、その後は(多分神経が死んでしまったから)鈍痛程度でした。それでも抜歯の後凄ーく楽になったので、あーあれはやっぱりいけなかったなあ、と。とほほ。
歯科医選びって、本当に難しいですよね。だって本当の良し悪しが判るのが5年後とか10年後ですもの。私達も最初にいいと思っていた歯医者さんにやっぱり弱点があって、歯医者さんを替えて、これでもう6、7年なので、今度は大丈夫かな、と。
今の歯医者さんは、噛み合わせのスペシャリストを探していて、夫がネットで見つけました。経歴とか、スペシャリストとしてのキャリアとか、所属団体とか、そういうので判断したみたいです。
大学歯科病院がお近くにあれば、それもお勧めです。知識や治療方針などが最新ですから。


夫ももうよく覚えていないそうですが、確か「CMD(Craniomandibulaere Dysfunktion)」「Spezialist」などで検索したと思う、と言っています。CMDと言うのは、噛み合わせが原因で起きる背骨などの不調の事です。
それで見つけた先生はもう引退されたのですが、共同経営者だった若先生も凄く腕がよく、だから引き続きそこに通っています。
www.kaiser-waibel.de/
現在このKaiser先生にかかっています。村上春樹の大ファン。
うわー、それはひどい目に遭われましたね・・・。
どんな高価な素材でも、それでは百害あって一利なしですから、有能な歯医者さんを探して、きっちり削って調整してもらうか、やり直してもらいましょう!

勇気を出して、頑張って探してみたいと思います。
そうそう、「噛み合わせ(の問題)」は、「Kauflaechenkontakt」とか「Okkulusion(sproblem)」とか言います。
いい先生が見つかりますように!!

私も先日、くまさんと同じような症状で抜歯となりました。
このあとインプラントにしようか迷っています。
くまさんはその後、この抜けた歯の後はどうされましたか?
うわあ、大変ですね・・・。
私はインプラントにしました。抜歯して放っておくと骨が減ってしまうので、インプラントにするのなら、早い決断が必要です。
どうぞお大事に!

抜歯後、肌がツルツルになって、髪の手触りまで変わったのには驚き。どれだけ私を錆びさせていたのかと、口内環境を整えることの大切さを実感しました。
くまさんおすすめのブラウンで磨いていますが、毎日はできないなぁ。どうも下手くそなようで、歯へのあて方がいまいちよくわからず、歯ブラシの方がすっきりするんです。おかしいですよね。力の加減かなぁ。
お手すきの際に歯磨きやサプリなど関連の話題があれば、またお願いいたします。
それは、歯の根っこが慢性的に炎症を起こしていたのでしょうね。
ブラウンが難しければ、フィリップスのSonicareはどうでしょうか。どちらも力は全く要りません。
歯磨きに関しては、以前に書いたあれから、特に新しい事はありません。記事、見つからなかったら仰って下さいね。

BW州に住んでいて歯のことでとても困っているところでこちらの記事を拝見しました。
歯医者さんはしばらく経たないと良いか悪いか分からず選ぶのが難しいですよね。
私は治療してしばらく経った後で今まで行っていた所が良くないことに気付いたので歯医者を変えたいと思っています。
コメントを拝見して、くまさんのかかってらっしゃるKaiser先生に私もお願いしようかと思っているのですが、替えた詰め物の持ちや整合性、かみ合わせはどうでしょうか?
新しいクラウンを作らないといけないのですが、くまさんはKaiser先生にクラウンを作っていただきましたか?
歯は一度削ると元には戻らないので、新しい歯医者さんに行くのはとても勇気がいります…。
今までに良くない歯医者に当たってひどい目にあったこともあるので、心配性になっています。
色々と聞いて申し訳ないのですが、教えて頂けると大変助かります。
クラウンは作って貰っていないと思いますが、この時のインプラント1本と、上半分だけの被せ物(セラミックの半クラウン?)は2列作って貰いました(臼歯がほぼ全部詰め物入りで、それを1列ごとに全部やり直して貰いました)。妹こぐまの出産後5年間、虫歯がないのに歯が痛くて普通にものが噛めない状態で、もう一生このままかと思っていたのですが、詰め物を列単位でやり直して噛み合わせをきちんとして貰ったら、突然普通に食べられるようになりました。それ以来、今迄、歯のトラブルは全くありません。
その前の歯医者さんの時は、新しく作った被せ物や詰め物を噛み割る事が続いたのですが、Kaiser先生に作って貰った物は、まだ一度もやり直した事はありません。

周りに歯医者に詳しい人がおらず本当に困っていましたので、色々教えて頂き、感謝の気持ちで一杯です。
噛み合わせを変えるだけでそこまで変化があるとは、噛み合わせは本当に大切なんですね。
私も嚙み合わせの問題を抱えているので、Kaiser先生に見て頂こうと思います。
あと2つだけお伺いしたいのですが、詰め物を変える際には削ることで歯の神経に炎症が起こってしまうようなリスクもあると思うのですが、それは大丈夫でしたか?
Kaiser先生のところで神経の治療はされましたでしょうか?
教えて頂けますと嬉しいです。
この抜歯の時はもう神経が死んでしまっていたので、ここで神経治療はした事がありません。
古い詰め物を新しくした時は、問題ありませんでした。この先生にはもう10年近くかかっていて、新しいトラブルは今のところ出ていません。
私もあと残り2列、やり直して貰わなくてはいけないのです。古い詰め物が楔みたいになって既に歯がヒビだらけになっているので、それも全部半クラウンにして貰わないと、いつかまた歯が割れてしまう。来年あたり、思い切るかなあ・・・。
ところで、大きな治療をする時は、年間限度額を超えると税金控除が出来るので、なるべく同じ年の間に家族で一気に済ませるのがお得ですよ。

大きな治療がある際には年内にまとめてするといいとは知りませんでした。
新しい歯医者さんに行くのは苦手なのですが、勇気を出してKaiser先生のところに行ってみます。
くまさんの残りの治療も上手くいきますように!
ブログやコメントを拝見して、くまさんは困っている人や苦しんでいる人の気持ちが分かる方だと思います。
お医者さんがみんなそんな人だったらいいのに…(稀にですが本当にえっ?と思うようなお医者さんにも遭遇するので…)
遠いので、かかりつけ医になっていただくのはなかなか難しいかもしれませんが、いつか健康に大きな問題が起こった際にはくまさんの医院にお伺いして、意見を頂戴出来たらなと思っています。
その際はどうぞよろしくお願いします。
私も本の虫で山女なので(年に一度くらいくまさんのお住まいの近くにもハイキングに行きます)、これからもブログにお邪魔させていただきますね。
治療が長引いて年を越えてしまいそうな時は、お金だけ年内に振り込ませて貰う事も可能です。
私の残りの治療は、出来上がりに関しては全く心配していないのですが、大きな治療って体力も気力も要るし、昔は平気だったのに最近はパニックになりそうになったりして、もうさっさと済ませておかなくちゃーと。
こちらこそ、これからもよろしくお願いします!