虫歯や歯周病にならない歯の磨き方

私には治療済み虫歯が沢山あります。

学校の歯科検診では引っ掛かった事がなく、虫歯の痛みも未経験。
あちこちの歯医者で歯磨き指導を受けても、いつも誉められるのみ。
それでも小さな虫歯がちょこちょこできては治療され、
気付けば詰め物だらけの口になっていました。
きちんと歯磨きをしているのにそうなるというのは、非常にフラストレーションの溜まるもので、
でもそれはもう仕方のない事だという諦めのような心境になっていました。

ところが、十年ほど前に受けた歯磨き指導でデンタルフロスの正しい使い方を知り、
同じ頃によい電動歯ブラシにも出会い、
それ以来、ぴたりと新しい虫歯ができなくなりました。
私がその歯磨き指導と予防プログラムに払ったのはかなりの金額でしたが、
専門家による適当な歯磨き指導も少なくない中、
実際に虫歯の発生を止めた唯一の指導だったので、ここに御紹介。

因みに私は、二種類の電動歯ブラシを愛用しており、４－５種類のヘッドを使っています。更に電動でない歯ブラシを使う事もあり、我が家の洗面所には歯ブラシやヘッドがずらりと並んでいて、よく驚かれます。
勿論毎日全てを使う訳ではなく、「今回はこれとこれ」という感じで、ローテーションさせています。
何故かと言うと、歯ブラシやヘッドによって癖があり、それらをローテーションさせる事によって、「常に磨き残される箇所」というのを減らす事ができるからです。

また私は、きちんと歯を磨くのは、晩御飯の後（就寝前）の１日１回だけです。１０分くらいでしょうか。
仕事をしている時にはエチケットのために毎食後さっと磨きますが、本当にさっと。それ以外では、食後に口をしっかりゆすぐ程度です。
それでも虫歯はできなくなり、朝起きた時の口臭もなくなり、とても気持ちよく生活できています。妊娠・授乳期も大丈夫でした。
歯科検診とクリーニングには年１回行っています。昔は半年に１回行っていたのですが、その必要も感じなくなりました。

前置きが長くなりましたが、それでは本題へ。
但し私は歯科医ではありませんので、飽くまでも「私が集めた情報と経験」の話しですので、御了承下さい。


まずは、歯の形状をよく観察してみましょう。


様々な「歯の磨き方」の絵では、歯ブラシの形を誤魔化して、まるで凹んだ箇所の奥まで歯ブラシが届くかのような描き方をしているものが多いのですが、実際には奥まで届く程歯ブラシを変形させて押し付けていたのでは、強く磨き過ぎになり、歯茎を傷めてしまいます。
普通の歯ブラシで軽く当てて磨いていたのでは、歯ブラシが届かなくて磨けない箇所はかなり沢山あります。
特に磨きにくいのは：
・咬合面の深い溝
・歯の生え際のオーバーハングになっている部分
・歯と歯の隙間
・歯肉溝の中（歯と歯茎の間のポケット）

また、歯を磨きながらよく観察すると、出っ張っていて一見磨きやすそうな箇所でも、丁度そこで歯ブラシの毛が割れてしまったり、歯ブラシが滑ってぴょんと跳び越えてしまったりして、なかなか毛先が当たってくれないという事もあります。
そもそも、普通の歯ブラシ１本でこの複雑な形状の歯を磨くには無理があるのだと、私は思っています。


私が使っている二種類の電動歯ブラシは：
一つは普通にヘッドが動いてこすって落とす、丸型ヘッドの電動歯ブラシ。これの長所は、ヘッドの形が角型ヘッドよりも歯の凸凹に合いやすく、歯を１本ずつ磨く事ができるため、磨き残しが比較的少ない事です。目に見える汚れ（歯に挟まっている食べ物のカスなど）は、この丸型ヘッドが断然強い。
もう一つは超音波歯ブラシ。これは、歯ブラシの毛よりも細く深い溝など、どうしても歯ブラシが届かない箇所への効果を期待して使い始めました。実際どうなのかというデータは知りませんが、磨いた後のすっきり感が全然違うので、矢張りいいのだと思います。私は古いヘッドも捨てずに取っておき、それでマウスピースを磨いています。

私の基本の磨き方は、まず普通の電動歯ブラシで磨き、舌掃除、デンタルフロス、最後に超音波歯ブラシで仕上げ磨き、というやり方です。

余談：
替えブラシ（ヘッド）は構造が複雑な事もあり、汚れが溜まりやすいので、私は定期的に洗浄・消毒しています。
多くの雑菌は６０度で死滅するので、私は沸かしてからちょっと冷ましたお湯をコップに入れ、ヘッドをざぶんと沈めて何分間か放置しておきます。材質の劣化の事を考えると、ぐらぐらの熱湯はお薦めしません。
その後、アクセサリー用の超音波洗浄器にかけると、すっきりきれいになりますが、なければ普通にすすぎ洗いしたらいいでしょう。


特筆すべきは、こういう先端の細い歯ブラシ。歯の生え際には、こういう歯ブラシ（日本ではワンタフトブラシやインタースペースブラシというようです）が適しています。
電動である必要はないのですが、何れにしてもお店ではやや手に入りにくいのが難です。
（この写真は歯茎のない骸骨くんの模型なので、歯の見え方は実際とは違います。）

追記：

最近新発売になった、この「CrossAction」という替えブラシ、
使ってみたら非常にいいです！
歯間ワイパー付きのほど大きくなくて小回りがきき、
ブラシの毛の長さが束ごとに違うのと、斜めに植毛されているのとで、
歯のカーヴに沿いやすく、磨きにくい箇所にも届きやすい。
日本ではまだ発売されていないようですが、非常にお薦め。


そして、どうしても欠かせないのが、デンタルフロス。
「フロス＝楊枝や歯間ブラシの代わり。歯と歯の間の汚れを取り除くもの」
と考えている人が結構多く、フロスを省略する事の言い訳として、
「私のハイテク歯ブラシならフロス不要」「歯間ブラシを使っているから不要」
などというのもよく耳にしますが、それらではフロスの代役は完全には務まりません。

勿論、歯の生え際や隙間もフロスでこするときれいになりますが、
何より肝腎なのが、歯肉溝というポケット部分です。
歯医者さんやフロスメーカーのサイトの「フロスの使い方」を見ても、この歯肉溝について言及していないところが結構多くて驚かされますが、こここそが歯周病（歯槽膿漏）予防の肝心要です。
「歯と歯の間」だけではなく、「歯と歯茎の間」もきれいにしなければ、健康な歯は保てません。そしてこの歯肉溝は隠れていて見えません。見える部分の歯だけ磨いていても駄目なのです。
歯肉溝は通常１－３ｍｍ位の深さのものですが、歯周病が始まっていると、もっと深くなっていたりちょっとした刺激ですぐに出血したりします（歯医者さんによっては定期健診でその深さと出血の有無を調べます）。
歯周病の初期には自覚症状は余りなく、「３０歳で８０％、５０歳で９０％（が歯周病にかかっている）」という記述も見掛けました。これを放置して進行させると、歯を支えている組織が不可逆に破壊され、歯がぐらぐらになり、抜け落ちます。たとえどんなに虫歯のないきれいな歯であっても、歯周病になって抜け落ちてしまっては何もならない訳です。


フロスで歯茎を切らないよう、フロスを歯にしっかり巻きつけるように沿わせ、そーっとこの歯肉溝の一番奥まで入れ、縦方向に汚れを掻き出すようにフロスを動かします。生え際のオーバーハング部分も、この時に一緒にきれいにできます。
最初のうちは、正しくフロスを使っているのに歯茎から血が出たり、かなり痛かったりするかも知れません。それが歯周病のサインです。
めげずに毎日フロスを使っていたら、そのうちに痛くなくなり、出血もなくなり、ぷよぷよしていた歯茎がピカッと引き締まり、指でこするとキュッキュッと音がする位になります。

デンタルフロスを全く使った事がない、フロスの使い方の基礎知識がない、という方には、
こちらのサイトの「使い方」が私のお薦めです。



最後におまけ。私が現在気に入っている歯磨き粉たちです。


歯の磨き方にはどうしても癖がありますから、
染色薬を買って来て磨き残しのチェックをし、自分の弱点を知る事が大切だと思います。
極端な話し、３０分や１時間磨いても、まだ磨き残しがある人も少なくないのです。
そして、実際に染色された磨き残し部分を磨いてみると、ほんの軽くこするだけで簡単にプラークが落ちるのに驚きます。つまり、磨き残し部分というのは、そんなに軽く触れる事すらされていなかった箇所という事なのです。

また、果物の酸は歯の表面を柔らかくしてしまいますから、
果物を食べた後は口をゆすぎ、すぐには歯を磨かず、３０分位待ってから磨くようにします。

私の勝因は、
・多種の歯ブラシをローテーションで使う事により、磨き残しを防ぐ
・超音波歯ブラシも併用
・デンタルフロスをきちんと使う
ではないかと思っています。

歯の治療には、まとまったお金がすぐに飛んで行く。
だから、お金のない人ほど、しっかり予防するべきです。
電動歯ブラシは高い、歯のクリーニングも高い、あれもこれも高いけれど、
それでも歯の治療代として否応なしに消えるお金の事を思えば、そんなに高くない。
それに歯がダメになってから出すお金は、歯もお金もなくなるけれど、
予防に出すお金は、それによって健康な歯は維持できるのですから。

因みにドイツでは、毎年の歯の定期検診でスタンプを押してもらう手帳（Bonusheft）を歯医者さんで作ってもらう事ができます。
例えばクラウンなど大きな治療が必要な場合、
その手帳に十年分の記録が溜まっていれば、公的健康保険の負担額が増える、
などというメリットがあります。

歯は、ダメになったら二度と再生しないものです。
どうぞ皆さん大事にして下さい。




↑その後買い換えて、今はこんな２本。
全くの同機種は日本ではないみたいだけれど、これらが一番近いみたい。
左がブラウンの電動、右がフィリップスの音波歯ブラシ。
性能が進化しているので、中くらいの機種でも昔の高い機種くらいよく磨けます。


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