外国で死ぬということ・・・遺言の大切さ |
国際結婚をして外国に住んでいて、そこで死んだら・・・
それはそれは、大変な手続きが待っています。
(これらは私が見聞きした内容で、裏づけや例外などは調べていませんので、
飽くまでも参考程度にして、ご自分のケースはご自分で調べて下さい。)
まず、日本人ですと、日本の死亡届も提出しなければなりません。
勿論、日本語で書かなければなりませんし、
ドイツの死亡証明書には和訳をつけて提出しなければなりません。
そんなの、国際結婚の遺族には、まず無理な場合が多く、
こちらの友人知人に頼るか、日本の出生の家族を頼るか、お金を出して翻訳者に書いてもらうか。
例えば共同名義の銀行口座を持っていた場合、
たとえ亡くなったのが主婦であり、夫が唯一の稼ぎ手であっても、
夫には、その銀行口座の名義変更や解約はできなくなってしまいます。
主婦だという事で、銀行が死亡証明書だけで納得する場合もあるでしょうが、
本来なら、遺産分割をきちんと片付けなければ、名義は動かせなくなるのです。
そして、遺言状がなかった場合には、
日本人なので日本の法によって、遺産分割が行われるとか。
これはもう、気の遠くなりそうな話しです。
子どもが未成年者の場合、もしきちんと公式にする事になったら、
日本ですと、恐らく未成年者には代理人を立てなければなりません。
代理人は、その遺産相続に無関係な人物でなければいけないので、
親が子どもの分をサインする訳にはいかず、
第三者を立て、家庭裁判所に申請し、承認されなければならず、
そのうえでの遺産分割協議になります。
また、日本とドイツでは、日独社会保障協定というものが結ばれています。
例えばドイツに来る前に日本で年金を納めていた場合、
ドイツの年金に、その期間を加算させる事ができます。
例えばそれがとても短い期間であっても、決して放置せず、自分で処理しておきましょう。
やり方は簡単で、ドイツ年金機構に、日本で年金を納めていた旨を連絡すると、用紙を送ってきます。
そこに、成人してから、いつからいつまで、どこに所属していたか(学校、大学、会社など)などを記入すると、ドイツの年金機構が、日本年金機構に直接問い合わせをして、手続きをしてくれます。
これを「どうせ殆ど貰えないから」と放置しておくと、どうなるか。
遺族には遺族年金というものが下りる可能性があります。
そしてそれが、本人達には、恐らく月額何百円とかの微々たるものだろうと想像がついても、
兎に角その手続きを済ませておかないと、
「もしかしたら入ってくる筈の収入があるかも知れない。その収入額によっては、未成年の子どもでも、自分で健康保険に入らないといけなくなるかも知れない」
という事で、健康保険の方が、家族保険を続ける事に難色を示し始めます。
つまり、小額なら小額だという事、貰えないなら無い事を、証明しなくてはならないのです。
そして、ドイツで遺族年金の計算をしてもらおうと思ったら、
協定がある以上、当然「日本にいた期間」が問題になってきます。
ところがドイツの遺族には、故人がいつからいつまで、どこに所属していたか、
成人した時点まで遡ってなんて、とても調べられないのが普通でしょう。
転職など重ねていたら、日本の家族ですらその日付けを知らなかったりします。
年金問題はただでさえ日本国内でも揉めており、しかも国民年金と厚生年金の二本立て。
これまた、気の遠くなりそうな話しなのです。
またちょっと別の話しになりますが、国際結婚でドイツに来ていて、
日本の親族が亡くなり、遺言状がなく、遺産分割協議が必要になる場合、
書類をドイツに持って来てサインするにも、
自分で総領事館まで行って、その場で署名しなければなりません。
ところがここに、相続人としてドイツ人が絡んでくる場合は、また別の手続きになります。
ドイツ人は日本の総領事館では署名させてもらえず、
ドイツの公証役場(Notariat)で署名認証をしてもらう事になります。
また、未成年者の場合は、先にも述べたように代理人を立てなければならず、
親もその遺産分割協議に絡んでいる場合は、親が代理人になる訳にはいかず、
全く別の人物を代理人に立て、日本の家庭裁判所に承認してもらわねばなりません。
「ドイツ人が絡む事なんて、あるかー?」と思われるかも知れませんが、
例えば子どもが成人してドイツ国籍を選んだ場合、自分が子どもより先に逝けば、
子どもが日本の親族からの遺産相続人になってしまう場合は充分考えられます。
それでお金を貰ってもいい状況なら構わないのですが、
例えば故人の配偶者が生きていて、相続放棄してあげないといけない場合など、大変です。
それらの法的な手続きは実に煩雑であり、
しかも文化の背景が違う者には、非常に非常に不可解に思える場合もあり、
お金の問題である以上、不信感だけは防がねばならず、
間に立って仲介するには、単なる通訳の何十倍もの労力が必要です。
そんな事態を防ぐには、やっぱり遺言状が一番です。
自分のところが相続人として絡んでくる親類縁者にも、きちんと書いておいてもらいましょう。
調べてみたら、ドイツでは1、2文の簡単な遺言状でもよく、
サインさえしてあれば、それで有効なようです。
(「Testament」「schreiben」「Muster」などのキーワードで検索すると、
書き方のサイトや例文などが出てきます。)
遺言状を書く事と、自分の日本の年金の処理を済ませておく事、
これは絶対にお薦めです。

黄金の秋も、もう終わりです。
今週も頑張りました。

私も将来こうなりうる可能性があるからでして。
長く付き合ってる彼がドイツとフランスのハーフの人で、結婚したら私はフランスで暮らす事になります。それは、近い内に。
ためになりました。ありがとう。
この写真は、ご近所の風景?何故か?北海道の風景に似ています。
イタリアに住み、15歳の息子がいます。イタリア人の夫と、家の買い替えなどの話を最近しながら、不動産の名義を直接息子にしたら、云々、話し合ってもいるところです。
まだまだ先の話だろう、と願っていても、しというものはある日突然やってくるもの、まだエネルギーがあるうちに、この国の年金機構に戦いに行こうと思います。ここは担当者によって言う事が違うのが当たり前の国。考えるだけで気が遠くなります。貴重な情報、ありがとうございます。
こういう事って、非日常の情報で、起こってみて初めて知る事が多いと思います。予防できる厄介はちゃんと対処しておくのが一番ですね。
写真は、私の通勤路です。
本当にそうですね。こういう事は、元気な時に片付けておくのが一番です。
ただ、不動産の名義は矢張りご自分達にしておかれた方がいいのではないかと思います。年老いて、病気になったり介護が必要になったりした時に、手っ取り早くお金に換えられる最後の砦ですから、自分達の心一つで如何様にでもできるようにしておいた方がいいのではないでしょうか。息子さんの将来の伴侶がどんな人かわかりませんし、またもし息子さんが起業でもして結局破産してしまったりしたら、家も取られてしまいますし。
・・・なんて、悪い方の想定ばかりのお話しになってしまって、お気を悪くなさったら、すみません。ただ、良かれと思ってそうしたのに・・・という例を幾つも知っているものですから。
よいお家が買えるといいですね!いいなあ・・・。
リンクに飛べなかったのですが、また是非URLを教えて下さい。

こちらの10月は毎日雨が降ったりやんだりの灰色の憂鬱な空がほとんどだったように思うのですが、この週末は見事な快晴でした。ぎりぎり黄金の10月。
一週間、お仕事お疲れ様でした。
来月日本へ帰るので、その時に役所に行って自分の年金の事を確認して、日本で払い続けようか、ドイツへ移そうか考えようと思っていたところでした。遺言は家族のためには勿論、自分の終わりをはっきり見つめる事で、残りの人生に少しだけ余裕が持てるかもしれないなと思いました。
急に空気が冬に入れ替わったように寒くなりましたね。
くまさん、ご家族が元気に冬を乗り切れますように祈っています。
本当に、もう勘弁してー!という複雑さでした。
相続人が一人の場合は遺言はなくてもいいかも知れませんが、でも年金の処理はしておかないと、遺族年金の計算ができなくて困るのではないかと思います。
今年は本当にあたたかい10月でした。
ただでさえ、死後の事務手続きは山のようにあるそうで、それを少しでも減らしておく事は、遺される家族への思いやりだなあと、つくづく思いました。私も遺言を書いてみて、何だか気持ちがすっきりしました。
日本、楽しんできて下さいね!また、素敵な写真を楽しみにしています。

こういう事って、「思いもよらなかった」という部分が結構あって、実際に起こってみて愕然・・・という感じでした。知っていたら対処できるものもあるので、「出来る事はやっておく」というのは本当に大切ですね。
日本で手続きする場合、今は国民年金と厚生年金を一冊の手帳(一つの年金番号)にまとめてもらう事ができるようです。それをしておくと、いざという時の手続きはぐんと楽になると思います。
あと、日本の年金を残しておく場合は、自分の履歴書をイタリア語で用意しておくと、書類への記入が必要な時に役立つと思います。
とても興味深いブログ、またじっくり拝読させて頂きます。
これからも、どうぞよろしくお願いします。
この書類の大変さはイヤというほど知らされました.
突然の予期しない死ですので、遺言がなかったからです。
葬式のことからすべて妹の主人に頼んで、
なんとかこなせましたが、約1年かかかりました。
今度は今一緒に住んでいる義母(85才)、、、
私一人で看取って葬式もしなくてはなりません.
そのあと私、、、
もう私も71才なので、いろいろ準備しなくては、、。
大変ためになるお話、、、じっくり読ませていただきます。
そうだったのですか・・・。私も最近、遺言状を書きました。矢張り、元気なうちに書いておくのが一番ですね。
はるこさんも、どうぞお体に気を付けて。