アルザスというところ |
私がアルザス地方と聞いて反射的に思い浮かべるのは、
小学校6年生の時に国語の教科書に載っていた「最後の授業」。
堀田善衛の「日々の過ぎ方-ヨーロッパさまざま」を読んでいたら、
またもぴったりの表現を見つけました。
正確には堀田善衛が引用している部分になりますが。
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近頃パリで刊行されたJ=P・サルトルの、第二次大戦時に兵士としてアルザス地方に勤務していた頃の日記を読んでいて、そのなかに、仲間の兵士の不満の一つとして、アルザス地方の人々をさして、
《ここらの奴等は、決してわれわれ(フランス人)のようにはならないだろう。(アルザス語ばかり話して)学校では一週に一時間しかフランス語をやっていない。こいつらは、自分らはフランス人でもなければドイツ人でもない、アルザス人だ、と言いやがる。》
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「日本と違って平野に生えるヨーロッパの森は、長いあいだ人間の生活集団と生活集団、村と村を、みごとに分断してきた。森の向うは別の国であり、法と慣習が違い、言葉が違う別の世界であった。森はしたがって、見える国境というより、緑の海であった。ひとつづきの村や畑、未耕地、そして町は、森の海に囲まれた島であり、島国であった。中世ヨーロッパ世界は、点在し、散在する無数の島国より成り立っていた。」(堀米庸三氏)
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黒い森を抜け、ライン川を渡り、アルザス地方に抜けると、
ドイツが欲しがったのも無理はないと頷かされる、
楽園のような土地が広がっています。
ドイツとも違い、フランスとも違い、
でも、どちらとも通じる。
お料理一つをとっても、
フランスの素晴らしい食文化は確かにここまで到達しており、
それでいて、ドイツの田舎料理に通ずる気取らぬ部分も残っており。
人々も素朴で優しい印象を受けました。
ドイツ語は、思ったより通じませんでした。
通じるのは、売ってなんぼのお店やレストラン。
嘘か本当かわかりませんが、
「ドイツ語は話せません」と言われる事も多かったです。
アルザス料理は、一皿どっかんの大盛りが多く、
値段もそんなに高くないので、有難かったです。
ただ、午後2時頃に一旦閉めるレストランが結構多くて、要注意。
観光地でも駐車場探しには余り困らず、駐車料金もそんなに高くなく、
車でまわりやすい地方でした。
・・・と言っても、一番のハイシーズンではありませんでしたが。
ワイン倉では、気楽に試飲させてくれます。
たっぷり注いでくれるので、余り何種類もは試飲できない程。
(吐き出すなんて、そんな勿体ない事はできません!)
運転手も一緒に楽しむには、その町や村に宿泊する事が大事です。
ストラスブールやコルマールといった有名な大きな街もいいのですが、
私達はワイン街道の小さな村々の方が気に入りました。
ただ、おいしいケーキ・パン屋さんを始め、いろいろなお店は、
やっぱり或る程度大きな街に行かないと、余りありません。
長らくお付き合い頂いたアルザス旅行記も、
これにておしまいです。
外から見て「えーっ?!私達が泊まるの、本当にここ?」
という素敵な建物のホテルでしたが、屋根裏部屋だったので、
小さな窓からは、景色は殆ど見えませんでしたし、
かなり何度も頭をぶつけました。
スタッフも、「・・・これで四ツ星?」というレベル。
でも、バスルームは素敵でしたし、
街をぶらつく拠点としては、最高の立地でした。
私はこぐまがいるので無理でしたが、
晩御飯のコース料理が素晴らしかったそうです。
川越さんカップルのようなグルメ&飲兵衛さんだったら、フランスはとっても楽しいのではないでしょうか。夏がハイシーズンですが、秋はワインの収穫の季節だし、冬はジビエがあるし・・・。アルザスは、フランスにしては敷居が高くない感じで、私達にとっては行きやすかったです。
こちらの方へいらっしゃる機会があったら、是非御一報下さいね。
アルザスの旅、あー、おもしろかった~!
くまさんの旅行記は(旅行記も)、写真が魅力的なのはもちろんのこと、実用的な情報がたくさん盛り込まれていて、ふむふむなるほど~と感心しながら、読ませていただきました。
ヨーロッパの森が「長いあいだ人間の生活集団と生活集団、村と村を、みごとに分断してきた。森の向うは別の国であり、法と慣習が違い、言葉が違う別の世界であった」というくだり。書こうと思い数年間、寝かせてきたキーワード「森」に、ある種の確信をもたせていただきました。ありがとうございます。(なんのこっちゃ?笑)
もうひとつ。今、調べている地域は、谷で民俗が分断されています。それはもう見事に。数キロの距離なのにです。ヨーロッパの森と照らし合わせてしまいました。ではまた^^
えー、嬉しいなー♪♪♪
コメントも殆どなかったし、半月以上掛かってだらだら更新していたので、皆さんにいい加減飽きられているだろうなーと思いつつ、取り敢えず最後まで押し切ってしまったので・・・。いやー、嬉しいわ♪
ヨーロッパで面白いのは、国境を境にして、頑なに自分達の食文化が守られている事です。それこそほんの数キロ先に、凄くおいしいパンがあるのに、自分達はまずいパンを焼き続けている、とか。
そうそう。全く別の話しですが、先日こぐまに高橋竹山のCDを聴かせてみたら、ノリノリでした~。
再コメごめんなさい。どうしてもお話したくて。
あ、そういうことなのね。旅先でそんな感じを受けたことを思い出しました。
かたくなに、まずいパン。あの国のあの街というと、ぼそぼそのパン。
いったい何故こうなのかと、今まで、いぶかしく思っていました。食文化なのですね。
津軽三味線に反応するとは、こぐまちゃん、すごい感性ですね~♪
波と風の音、吹雪を聴いたのかしら。
音楽のことはちっとも分らないのですけど、古くからの和楽器って、自然の音に思えます。
こぐまちゃん、尺八や笙とかの音にも反応するかしら?^^
いえいえ、二度でも三度でも・・・♪
やっぱり文化なのでしょうね。母が、「すぐそこにおいしい物があるのに、それを真似しないって・・・!」と、凄く不思議がっていました。
また、中国人はどこの国に移住しても、その土地の食材を上手に使って、その土地の人達の好みにも合わせて、中華料理店を出して、ちゃんとはやらせます。それもまた、文化ですよね。
私は国籍を問わず、おいしいものに流されるので、文化は守れません。あはは。
尺八や笛のCDも持っているのですが、ちょっと怖いかな・・・と、まだ試していません。そのうち♪