ハンガリーのシチュー、Gulaschの作り方 |
かもさん、お待たせ致しました!
シュバルツバルトさん、次回の料理教室はこれですよ~。
Gulasch(グラッシュ、グーラッシュ)というのは、ドイツでも愛されているハンガリーのシチューです。
実は私も、本場で食べた事はありませんから、本物の味は知りません。
「Gulaschの素」という袋入りの粉を買って来て、それで作る人が結構多い。
私は昔、この2ページだけのために、このハンガリー料理の本を買いました。
「シチュー」といえば、ことこと煮込んでおいて翌日食べるイメージだったのですが、
もともとは牛飼いが野で作り、鍋から木匙で食べた料理だと読んで、待てよ、と思いました。
放牧中に、そんな気長な事をする訳がなく、さっと作ってさっと食べるでしょう。
そもそも放牧中なら、夏のお料理。日持ちもしないから、一晩寝かせるなんて事はしない筈。
そして、この通りに作ってみて、納得しました。
これは、普通に言うシチューとは、全く別物です。
作り立てが、香りが高くて一番おいしいと思います。
寝かせると、味が渾然一体となってしまって、かえって面白くないのです。
そして、野外のお料理ですから、多種のハーブや香辛料は不要です。
月桂樹の葉も、胡椒すらも入っていない。
つまり、「料理人の台所」の品揃えがなくても、簡単に作れます
(勿論、Gulaschの素も、粉末コンソメの類も、一切なし。)
それなのに、驚きのおいしさなのです。
材料(オリジナル):
牛肉600g、玉ねぎ大1個、脂50g、Kuemmel(キャラウェイ;クミンでも)大匙半分、ニンニク1片、粉パプリカ(辛くないもの)、塩、人参中1本、Petersilienwurzel(下写真参照)中1本、トマト中1個、パプリカ2個、セロリ2本、じゃが芋400g。
私はこれを、二人前にアレンジしてみました。
さっと作って、さっと食べられるからこそ、独り暮らしの人にはぴったり。
野菜は色々と必要ですが、マルクトでばら売りしているのを買えば大丈夫。
(一つのお店でまとめて買えば、1個ずつでも嫌がられません。)
粉パプリカは、トルコ食材店で、大瓶を安く買う事ができます。
16cmの深鍋で、丁度いっぱいになります。
時間をはかったら、野菜を洗い始めてから、お鍋の蓋をして調理器具を洗い終わるまで、丁度30分でした(そこから、まだ煮たので、出来上がりまでは45分)。
材料はどれも必要不可欠だと、食べる度に実感するので、是非揃えて下さい。
それぞれの分量は適当でいいと思いますが、沢山作ろうと思うと、野菜を切るのに時間が掛かって、大仕事になってしまうし、寝かさない方がおいしいので、こらえて、こらえて。
冬ならトマトはトマトピューレや乾燥トマト・トマト缶などで代用したらよいでしょう(今回は写真撮影のために買いました)。ピューレは入れすぎると酸っぱくなりますので、控え目に。
生姜を入れてもおいしかったです。
■材料(二人前)■
牛肉200g、玉ねぎ1個、オリーヴ油、キャラウェイ小匙1、ニンニク1片、粉パプリカ、塩小匙1-2、人参中1本、Petersilienwurzel小1本、トマト中1個、パプリカ1個、セロリの葉ひとつかみ、じゃが芋4個。
(野菜を「半分」とか残したくないので、オリジナルよりも野菜が多目になっています。
でも、欲張って野菜を入れ過ぎると、薄まって味がボケます。)
今回は玉ねぎは小さくて、Petersilienwurzelは大きかったので、こんな感じ。
冬に夏野菜のお料理をするのは恥ずかしいのですが・・・。
(Petersilienwurzel [ドイツ語Wikipedia] というのは、この写真の白い人参のようなもので、パースニップの仲間のようです。日本の方は、これは省略するしかないかしら。)
■作り方■
牛肉は1.5cm角位に切ります(または切ってあるものを買います)。
全部の野菜を洗い、じゃが芋とPetersilienwurzelの皮を剥き、
玉ねぎをみじん切りにします。
この玉ねぎを炒めながら、残りの野菜を切って、丁度いい時間配分になります。
時々野菜を切る手を休めて、お鍋をかき混ぜれば充分です。
(ニンニクは潰すかみじん切り、Petersilienwurzelは1cm四方位の薄切り、
その他の野菜は全部1cm角位に切ります。)
玉ねぎは、たっぷりのオリーヴ油で、半透明になるまで炒めます。
そこへ、キャラウェイとニンニクを加えて更に混ぜ炒め、一旦鍋を火からおろします。
その上に牛肉を乗せ、塩小匙1-2程度をふりかけ、
粉パプリカをたっぷりふりかけて、分厚いパプリカの層で肉をしっかり覆います。
(玉ねぎの状態をお見せするために中央だけにふりかけましたが、本当は全部を覆う位に、もっとたっぷり掛けます。)
弱火にかけて、蓋をして、ちょっと待ちます。
お肉に半分火が通ったら、
残りの野菜を全部その上にのせます(混ぜません!)。
オリジナルのやり方は、じゃが芋は一番最後に、他の野菜に火が通ってから加えますが、
私は一度に全部加えます。お好きなようにどうぞ。
根菜類を下のほうに入れると、火が通りやすいです。
蓋をして、中-弱火で暫く煮ます。
野菜から出てくる水分で、お鍋の半分位の高さ迄きますが、それでは少ないので、
お湯を沸かして、ひたひたにちょっと足りない位まで足します。
(お湯を入れるのが早過ぎると、全体にボケた味になってしまうようです。)
すぐに食べるのなら、15-20分位弱火で煮ます。
少し後で食べるのなら、ぐらぐらしたら火を止めて、後は余熱で。
決して、小麦粉でとろみをつけたりしないこと。
お肉とじゃが芋はけちらないこと(・・・と本に書いてありました)。
短い麺を入れて食べてもいいそうです。
層を作って煮る事で、お肉にパプリカや玉ねぎの風味がしみ込みます。
作ってすぐ食べるので、それぞれの素材の味が保たれています。
私は普通は「肉くささ」というものが苦手で、ハーブをたっぷり使わないといけないし、
そもそもヨーロッパの牛肉は苦手なのですが、
このGulaschだけは、しみじみおいしいと思うのです。
追記:
↓作ってみて下さった皆さん
■シュバルツバルトさん■「グーラッシュ」「またグラッシュ」
■nono_raさん■「グラッシュ(Gulasch)を作りました」
■ひろろ箱さん■「雪の朝」
■タワラジェンヌさん■「グラッシュ」
■けろっぴさん■「ハンガリアン・グーラッシュ」
■ひろくまさん■「ドイツの思い出。グラーシュ。 」
くまさんとお料理の生徒さんのコメント楽しいですね。
ハンガリーグラーシュ。
色々な作り方があるのだなあと思いました。
うちのは、ハンガリー人の友達に教わったものですが。
牛肉の脛肉(600g)を薄切りにして使います、
野菜は玉葱を薄切りにしてきつね色になる迄炒めて、パプリカをかける。そこに肉や大蒜、クミン。塩を放り込んで、赤ワインを200cc入れて、弱火で肉をまず煮ます。
20分位して肉があらかた煮えてから、トマト。赤、青のピーマンを切っていれ、30分位から2時間くらい迄煮ても構わない。
ジャガ芋は別に茹でて、付け合わせにして。
ニョッキをゆがいて一緒に食べてもおいしい。
これ作った時、日本のハヤシライスの原型かと思いました。
ついでにうちは、ビーフストロガノフのつけあわせ(ふりかけ?)にジャガ芋をごくごく細く切って油であげた物をかけたりします。
シチュウにフライドポテト?とビックリする人が多いけれどかりかりまであげて(天使の髪の毛と呼んでいます)
香ばしくって中々乙な味です。
コメント、とっても嬉しかったです。
ところで、くまさんはお料理教室も開催されていたのですね。
すごか~...(何語じゃ?)
このグーラッシュ、ぜひ作ってみたいです!
> かもさん、お待たせ致しました!
まず,この出だしをとても嬉しく拝見しました.ありがとうございます!
そして,
> 勿論、Gulaschの素も、粉末コンソメの類も、一切なし
なGulasch,待ってました!
休暇が終わり次第,気合を入れて作ってみたいと思います.
首尾よくいきましたら後喝采.
折角,書いてくださったのにすぐさまお返事出来なくてごめんなさい.
ただいま,休暇中なのでネットワークへの接近が不安定なのです.
先週、ビーフシチューの材料を買いにひとりでスーパーに行ったとき、Gluaschのもとをいくつか見かけて、
ビーフシチューとの違いは何?と思っていたところです。
今日納得しました。別物と。近日中に、作ってみます。
父が一番気に入ったのがGulasch Suppeでした!
私も作りたくなってしまいました。
今度 作ってみますね。
あら、予習なさったのですね!
クミンはお好みでどちらでもいいです。粒々に好き嫌いがあると思います。
粉パプリカは、正解。edelsuessの方です(でも、考えてみたら、scharfを使って激辛・・・というのもおいしそうですね♪)。
セロリがないと、パンチに欠けるかしら・・・という気がしますけれど、あるもので作るのが本来の姿でしょうから、それでいいのだと思います。
レシピのご紹介、有難うございます♪
きっと、日本で色々なお味噌汁があるようなものなのでしょうね。
カリカリフライドポテトは、おいしそうですね!
確かイタリアには、「天使の髪の毛」というパスタがありますよね。面白いわぁ。
これからも、どうぞよろしくお願いします。
確かに誤解を招く表現でしたので、直しておきました。
でも、私がそういう鼻持ちならない意図で書くような人間だとお思いなのでしたら、
そんなひどいブログはお読みにならない事をお薦め致します。
いえいえ。「お料理教室」は、ふざけてそういう名前で呼んでいるだけなのです。
実際には、お料理を始められたシュバルツバルトさんに、
「如何に楽して作るか」という事を伝授しているだけです。
「結構横着するんですね」というシュバルツバルトさんの一言が、
その内容を表わしているかと・・・あはは。
あらあら、休暇中に失礼致しました。
どうぞ気になさらず、休暇を満喫なさって下さいね~♪
これ、凄く簡単なので、お薦めです♪
ビーフシチューは、元来の国籍はどこなのでしょうね。
このGulaschを食べると、流石、パプリカのおいしい国のお料理だな~、と思います。
日本人の口にも合いますよね。
そう言えば、私も初めて食べたのはオーストリアで、
広まって色々な国で愛されているお料理なのですね。
日本に一時帰国されていたのですね。日本を堪能されてお忙しい毎日の活力になりますね。
グラーシュはドイツにいたときに覚えたお料理で大好きです!
今もなにかドイツの料理をとリクエストがあるとこれとシュペッツレ、ツヴィーベルクーヘンなど作っています。
食べたくなってしまいました。(笑)
これもいろんな作り方があるだろうと思っていたけど、出来上がりまで45分とは!!!
牛肉、硬くないの?!
パプリカの形が唐辛子みたい!
野趣あふれるくまさんのグラーシュも食べてみたいわ♪
ブログ通信簿、久々にやってみたら、年齢が29歳になってたの!
なんだかうれしい(笑)。
GulaschもSpaetzleも、日本人の口に合いやすいですよね。
日本から遊びに来て、ヨーロッパの外食に少し辟易気味の方には、
「こんな御飯もあるんだね~」と、とても喜ばれる事が多いです。
牛肉、それなりに硬いです(笑)。
私の本によると、
これは元々、中世ヨーロッパの都市(ウィーン、ニュルンベルク、ヴェネツィア・・・)への輸出用として、今のハンガリーで牛飼い業が栄えた頃、その大量の牛を放牧して移動している最中に、弱った牛を屠っては作ったお料理なのだそうです。だから牛肉で、だからこういう作り方なのだな~、と、納得しました。
当たらずといえども遠からず・・・という感じなのですが、
建設的な解決策を考えています。
今日は元気を頂きました。有難うございました!
Gulaschがあまりにも美味しそうだったので、早速作ってみました。
本当にしみじみと美味しかったです。
貴重なレシピ、どうもありがとうございました。
ぜひ挑戦してみたいと思います。
掲載してくださってありがとうございます。
感想はまたブログに書かせてもらいますね^^
これ、作り方も簡単で、私でもできそうだったので、
真似して作ってみましたよ~。
ほんとに30分で洗い物が終わるところまで済んじゃいますねっ。^^
こんなに簡単なのにお味はなかなかに本格的な感じがします。
パプリカがこんな風にお肉を美味しくしてくれるなんて、知りませんでした。
最近忙しくて、ちゃんとお料理まで手が回らないのですが、
このレシピはすごくいいですね~。
寒い冬、体も心も温まるし、お野菜もたくさんとれるし、短時間でできて、
もうすっかり私の18番のお料理になりそうです。
素敵なレシピをご紹介して下さって、ほんとにありがとうございます。^0^
本当に簡単で私でも美味しくできました。
スーパーで、クミンと粉パプリカを揃えたので、何度か作ってみようと
思います。 ありがとうございました^^
チェコにもグラーシュがありますが、似て非なるもの。
会社にハンガリー人のスタッフがいて、パーティーに招かれて、おばーちゃん手製のグヤーシュをご馳走になりましたが、いままで食べた中で一番美味しかった。
パプリカ料理って美味しいですね。
お役に立てたのでしたら、嬉しいです♪
こういうコメントを読むと、「書いてよかったなー」と思えます。
URLの欄には、ご自分のサイトやブログのアドレスを入れて頂くようになっていて、
お持ちでない場合は、空欄でも構いません。
ただ、暗証番号は入れないと投稿できない仕組みになっているようです。
これからも、どうぞよろしくお願いします。
うふふ。楽しみにしていますね♪
お書きになったら、トラックバックも是非どうぞ。
ね、パプリカのいい仕事ぶりに、びっくりしますよね。
あと、煮込み料理なのにパッと作ってすぐ食べられるというところが嬉しい。
でも、オリジナルは、「え?」という位野菜が少ないと思いません?
私は野菜沢山が好きなのですが、これ以上入れると味が薄くなります。あはは。
粉パプリカ、スパイス用の小さな瓶だったら、一瓶位使ってしまう勢いです。
私はついケチってしまいがちなのですが、
本によると「とろみは粉パプリカで出す」そうですので。
ほほーう。これはイタリアまでは広まっていないのですね。
イタリアにはイタリアのおいし~いものが沢山ありますから、
他の国のお料理なんか、取り込む必要がなかったのかも知れませんね。
チェコのグラーシュは、どんなお味なんでしょう?!
ハンガリー人の同僚が里帰りした時に、粉パプリカを頼んだら、
お友達の自家製粉パプリカを持って来てくれて、それはもう天にも昇る心地の味でした。
それは勿体なくて、私はグラッシュには使いませんでしたが、
そういうのを贅沢に使ったら、おいしいのが出来るでしょうね~。
すみません、普通のKuemmelです!
日本ではクミンだけ、ドイツではKuemmelだけしか知らなかったので、
コメントを頂いて、慌てて辞書やネットで見て、初めてその差を知りました。
記事の方も直しておきました。有難うございました。
うちは、豚を使って(ちょっとエセ・グーラッシュだったのですが)見ましたが、次回は、正統派の牛肉でやってみます!素敵なレシピをありがとうございました!!
はーい、その記事、拝見していました♪
同じ頃に地球のあっちとこっちで、それぞれグラッシュ作っていたのかな~、
と、楽しい気がしました。
シュバルツバルトさんのところから飛んできました。
このシチュー、グーラッシュというのですね。
ハンガリーのシチューとは知りませんでした。
昨年12月にドイツに旅行した折、ネルトリンゲンの
クリスマスマーケットでこれとよく似たシチューを食べました。
パンをくりぬいた器に入れてくれて、とても美味しかったのを
覚えています。
家で作ってみたいと思っていたので、レシピが載っていて
嬉しくなり思わず、コメントさせていただきました。
早速作ってみたいと思います。
Petersilienwurzelってパセリの根っこみたいなものですか?
入れなくてもお味には影響ないでしょうか?
パセリの葉を刻んで入れたらどうなんでしょう?
シュバルツバルトさんのところから、いらっしゃいませ♪
Petersilienwurzelは意味を和訳すると「根パセリ」ですが、
味はパセリとは大分違います。
ネットで見ても、皆さん表現に困っていらっしゃいますが、
蕪にちょっとセロリの香りをつけたような感じかなぁ、
というのが私の感想です(「違う!」と言われそうですが・・・)。
その仲間の「パースニップ」で検索されると色々出てくるので、
どんなものかイメージがわくかと思います。
これからも、どうぞよろしくお願いします。
米国在住のグリーンチリと申します。今日は生野菜ジュースとグーラッシュの昼ごはんのお礼にメッセージを残しています。
だいぶ寒くなってきたので、くまさんのレシピでグーラッシュ
初めて作りました。作る前は 粉パプリカたくさんいれるから辛いかなと
思いましたが 1歳の娘も食べられるくらいまろやかにできていました。レシピを載せてくれて有難うございました。
実はこの記事を出した時に「自分がひとと違うんだという事を自慢したくて書いている」という風にとった人がいて不愉快な思いをしたのですが、こうして喜んで下さる方がいると、やっぱり出してよかったなあと思います。こちらこそ、有難うございます。
これからも、どうぞよろしくお願いします。
今、夫が仕事から帰ってきてこれからこのグーラッシュを食べます。大喜びすること間違いなしです^^。
そんなに喜んで頂けて、とっても嬉しいです♪
同じ材料で作っても、「作り方」によって全然味が違うのだなー、と、とても驚かされたレシピでした。
私もkotoriさんから教えて頂いた豚肉のサワークリーム煮、ちょくちょく作っていますよ~。
夫がミュンヘン出身のドイツ人で、 ニューヨークに駐在を長くしております。 ミュンヘンに行くと、 まず食するのがこのグーラッシュでした。 色々なレシピで作ってみましたが、 このレシピが一番素朴で素材がぶつかることなく味わいが深いですね。 素晴らしいレシピをシェアしてくださってありがとうございます。
それはとっても嬉しいです♪
私は色々なレシピを試した訳ではなく、たまたまこれに出会っただけでしたので、運がよかったという事ですね。
これからも、どうぞよろしくお願いします。
旅行に行った時に食べた思い出の味に近く、おいしくできあがりました。
ありがとうございます。
参考にさせていただいた、ということで私のブログでも紹介させていただければと存じますがいかがでしょうか。
喜んで頂けて嬉しいです。リンクも大歓迎ですので、よろしくお願いします。
さっそく紹介させていただきました!
こちらこそ、有難うございました。こちらからも紹介させて頂きました。