2008年 12月 23日
いじめ・愛 |
夫の家族は裕福ではなく、しかも皆とても小柄です。
だからどうしても、子供達はいじめられやすい。
特に一番下の妹は、もともと大人しい性格で、知らない人を前にすると蚊のなくような声しか出せない子でした。
小学校に入学するのも怖がってガンとして行きたがらず、
「入学式の日に特別に私達が来て、一緒に行くから」と説得して、ようやく「うん」と言わせた。
無事入学してやれやれと思う間もなく、すぐに「ランドセルがお古だ」というところからいじめが始まって、色々ものを隠されたり盗られたり、こづきまわされたり。かわいそうに、おねしょが戻ってしまった程でした。
私が一番最初に仲間外れにされたのは、「お誕生日会をしないから」でした。
どんなにねだっても、無理なものは無理。でも、子供の世界にそんな言い訳は通用しない。
とても「しない」とは言えなくて、結局友達二人がプレゼントを持って遊びに来ました。
困った母が、とっておきのバウムクーヘンとオレンジジュースを出してくれたけれど、それはパーティーじゃなかった。
その翌日、私は初めて陰口というものの存在を知りました。小学校1年生の時の事。
子供の世界の流行が追えない。誰もが持っている何かが買えない。
そこから雪玉のようにどんどん転がってふくらんでいった。
誰かの罪を皆で寄ってたかって私に押し付けて、
それを鵜呑みにした先生は私に居残りを命じ、
「先生はあなたがそんな事をする子じゃないと思っています」と泣いた。
本当にそう思うなら、何故泣く。何故私に居残りを命じる。私は憮然とした。
そんな事が、2、3回も続いたろうか。
反発した私自身、どんどん捻じ曲がって嫌な奴になっていった。
そのうち通知表に「協調性がない」「友達が少ない」などと書かれるようになり、その度に親から叱られた。
そこから更に、思春期の本当に暴力を伴うハードないじめに突入していった。
もう、誰にも止められなかった。
学校を休むために風邪をひきたい一心で、掛け布団を被らずに寝た。
でも、無意識に引き寄せてまた被ってしまうのに気付いて、布団をベッドから蹴落として凍えて寝た。
義務教育の9年間は、絶望的に長かった。
ようやくそれが過ぎて、私は通知表からアルバム・文集に至るまで、全て捨てました。
そうでもしなければ、おられなかった。
外国人やハーフというのは、必ずと言っていいほど、いじめられる。
昔、或る人がハーフの我が子に、「一度目のからかいを決して許すな。全力で反撃しろ」と教えて育てた。
その子は級友達からちょっとからかわれた時に全力で飛びかかり、その迫力に驚いた級友達は、二度と再びそれを繰り返さなかったという。
その話しを読んだ時は「へえー」と感心したけれど、今ではちょっと違うのです。
さて、夫の家族に話しを戻しましょう。
夫の家族は、いじめにあっているその子を、家でやさしくあたたかく包み込んだ。
先生に対してや保護者会では問題を訴えたけれど、家ではその子にひたすら愛を与えた。
でも「汚いやり方を教えたくない」と言って、決して反撃させようとはしなかった。
「よく頑張っているね」という誉め言葉を惜しまず、家では思いっきりのびのび過ごさせた。
ドイツでは学校にいる時間が短い(大体午前中のみ)というのも幸いした。
家で充分の愛に包まれて、その子は頑張って学校に行き続けた。
そうしていつしか、いじめはやんだ。
その子が当時の私のようにひねくれていかなかったから、それで済んだのでしょう。
そんなやり方もあるのだな、と、羨ましく思いました。
夫から揺るぎない絶対の愛をもらって、私は変わりました。
大人になっても思い起こすだけで心がずきずき痛んだいじめの思い出も、今はもう全然何ともない。
愛は本当に、全てを救うのかも知れない。
今日は、母の撮影した写真をご紹介致します。
子供たちがこんなに美しく澄み切った瞳をしている社会には、未来がある。
(母のメールより、ここの説明を抜粋)
ダージリン地方は、あの名高い「ゴルカ兵」の古里だそうです。
ダージリンの茶園主で、茶園に住んでいるのは、唯一この茶園だけで、後は茶園主は都会に住み、茶園には雇われマネージャーが住んで監督しています。
雇われなので、効率を上げることのみ頑張り、そのやり方は、誇り高いゴルカの人々とは相容れず、ほとんどの茶園がストライキをしばしば経験、中にはそのために閉園に追い込まれた所も。
ここは140年間の茶園の歴史で、ストライキは1度も経験していない。
特に現茶園主は、茶園にある7つの村をコミュニティーと考え、何と7千人だかの人々の名前を全て覚えているそうな。
インド全体では40何パーセントかだという、子供達の就学率がここでは100%。
女性を要職につけるようにして、コミュニティー内でも女性の声をよく反映させたやり方を進めて成功しているそうです。
こうしたことは、因習深いインドでは、大変珍しいこと。
茶園主のこうしたやり方が、ゴルカの人々と良く合って、うまく行っているようです。
茶園で働く人達は、茶園に雇われているというのではなく、自分達の茶園という意識を強く持っているそうです。
これまでは、別棟のゲストハウスがあって、お客はそこに滞在したのですが、今年からホームステイが始まりました。
ホームステイで入ってくるお金の80%はその家庭に。
20%は茶園に。
そして、その20%は、又次の家がホームステイ用の家を建てる資金に使うそうです。
村の人たちは、決して豊かではないけれど、家は小奇麗に整備されていて、居心地良さそう。
人々の笑顔は本当に柔らかく、村中の人々と犬、鶏、山羊などがとても幸せそうだったのが、本当に印象的だった。
自分達が幸せで、誇りを持って生活しているから、他所から来た私達に、優しく笑ってくれるんだね。
by germanmed
| 2008-12-23 00:00
| いろいろ
|
Comments(6)
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at 2008-12-24 17:49
x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
インドの茶園の話、とても考えさせられましたが、同時に心が暖かくなりました。
本当は、「収入の何割かを集団のために差し出す」という原理は、決して、我々の社会構造と違わないのに・・・。 我々の社会では、納税者も、税金から恩恵を受けている人も、不満ばかり。だから、脱税したり、何としてでも税金の恩恵を受けようと必死になったり、どうなっているんだか。
今年最後の、くまさんブログ訪問となります。
いつも、真面目に生きていらっしゃるくまさんのブログを読ませていただいて、お気楽な自分を戒めております。ありがとうございます。
それでは、楽しいクリスマスと良いお年を皆さんでお迎えください。
本当は、「収入の何割かを集団のために差し出す」という原理は、決して、我々の社会構造と違わないのに・・・。 我々の社会では、納税者も、税金から恩恵を受けている人も、不満ばかり。だから、脱税したり、何としてでも税金の恩恵を受けようと必死になったり、どうなっているんだか。
今年最後の、くまさんブログ訪問となります。
いつも、真面目に生きていらっしゃるくまさんのブログを読ませていただいて、お気楽な自分を戒めております。ありがとうございます。
それでは、楽しいクリスマスと良いお年を皆さんでお迎えください。
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hanamomoact at 2008-12-25 20:34
反撃で乗り越えた子も、もしかしたらその背景にはいっぱいの愛の支えがあったのかもしれませんが、乗り越えることができた力が、反撃という外なる力か、愛をいっぱいうけてそこから生まれた自信という内なる力か、後者は時間はかかりますが、ゆるぎない強さを持っていますよね。次への派生の力も強さだけでなくて種類もぜんぜん違う。愛は一晩で現れる即効性はないけれど、どくとるくまさんのおっしゃるとおり、生ぬるい理想論ではなく、全てを救う力を持っていると思います。
小学校3年生のとき、いじめにあって廊下にひとり座っていたことがありますが、通りかかった隣のクラスの女の子が「気にすることないんじゃん」と一言。今考えると彼女すごい小学校3年生だったと思いますが(笑)、その一言が「あぁ、自分の世界って、つまはじきにされたあの世界だけじゃないんだ」と私を救いました。まー、そんな難しい言葉では考えてなかったと思いますが。それが今にもつながっています。人との出会いってすごいですよね。
お母様の撮影された子供たちのこんなにやわらかい表情、自信に満ちた目に、健全な大人たちの社会がそこにあることが伝わってきますね。
小学校3年生のとき、いじめにあって廊下にひとり座っていたことがありますが、通りかかった隣のクラスの女の子が「気にすることないんじゃん」と一言。今考えると彼女すごい小学校3年生だったと思いますが(笑)、その一言が「あぁ、自分の世界って、つまはじきにされたあの世界だけじゃないんだ」と私を救いました。まー、そんな難しい言葉では考えてなかったと思いますが。それが今にもつながっています。人との出会いってすごいですよね。
お母様の撮影された子供たちのこんなにやわらかい表情、自信に満ちた目に、健全な大人たちの社会がそこにあることが伝わってきますね。
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hanamomoact at 2008-12-25 20:41
あ、大事なことを書き忘れました。
ブログを通してだけではありますが、
どくとるくまさんとの出会いは今年の私の一つの
大きなできごとでした。来年もひきつづき
どうぞよろしくお願いいたします!
ご主人の愛にいっぱい包まれてあたたかい冬を
お過ごしくださいませ。
よいお年を!
ブログを通してだけではありますが、
どくとるくまさんとの出会いは今年の私の一つの
大きなできごとでした。来年もひきつづき
どうぞよろしくお願いいたします!
ご主人の愛にいっぱい包まれてあたたかい冬を
お過ごしくださいませ。
よいお年を!
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germanmed at 2008-12-26 01:06
★akkoさん、こんにちは。
これらの瞳を見ると、物質的にとても豊かな私達の社会は、実は空虚だなあ、と、しみじみ思います。
こちらこそ、来年もよろしくお願い致します。
(仕事は真剣ですが、私も本当はお気楽なんですよー)
akkoさんも、よいお年を♪
これらの瞳を見ると、物質的にとても豊かな私達の社会は、実は空虚だなあ、と、しみじみ思います。
こちらこそ、来年もよろしくお願い致します。
(仕事は真剣ですが、私も本当はお気楽なんですよー)
akkoさんも、よいお年を♪
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germanmed at 2008-12-26 01:07
★はなももさん、こんにちは。
はなももさんもいじめられ経験がおありとは・・・。
私もはなももさんとお知り合いになれて、とても嬉しかったです。
こういう点では、インターネットって凄い!と思います。はなももさんちは、私のアンテナがビビッと強力に反応しましたもの。
いつか3Dのはなももファミリーとお知り合いになれる日が来る事を願っています。
はなももさんちも、よいお年を♪
はなももさんもいじめられ経験がおありとは・・・。
私もはなももさんとお知り合いになれて、とても嬉しかったです。
こういう点では、インターネットって凄い!と思います。はなももさんちは、私のアンテナがビビッと強力に反応しましたもの。
いつか3Dのはなももファミリーとお知り合いになれる日が来る事を願っています。
はなももさんちも、よいお年を♪